デイリーコメントートランプ関税の発表続く中、リスク選好度は向上

投稿日: 2025年4月14日18時05分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・電子製品への関税が焦点、リスク選好度は若干向上
・トランプ大統領による新たな関税決定でセンチメント悪化の可能性も
・米株価は2022年以来最高の週間パフォーマンス更新
・米ドル続落、ゴールドは上昇で最高値更新

中国からの電子製品への関税に焦点

過去48時間以上にわたり、スマートフォンやコンピューターといった電子製品が関税関連の焦点となり、週末は関税関連のニュースから一段落しようとしていた市場参加者にはまた忙しい日々となりました。米政府による中国の輸入品に対する関税が145%となる中、金曜日遅くに、米国税関・国境警備局が、中国からの電子製品の一部に対しては高い税率を適用しないとの発表がありました。

その代わりに、当面の間は20%の関税が課されることになっています。この動きは、米ハイテク企業がトランプ大統領にかなりの圧力をかけた結果ではないかとする声もありますが、そうは言っても、このニュースは市場のリスク選好度向上にもなり、本日のアジアセッションは黒字となっています。

しかし、トランプ大統領は半導体を含む米国でのサプライチェーン全体を見直すとし、今週にも半導体への関税率を発表する準備段階であると発言したことで、市場のこの前向きなセンチメントは長続きしないかもしれません。さらに、トランプ大統領は4月上旬での関税発表には含まれなかった医薬品セクターについても忘れてはおらず、今のところは、国ごとの関税に関する交渉進展のために、チームに時間的余裕を持たせると決断したようです。

相互関税に関して二転三転したものの、投資家は徐々にトランプ大統領の戦略を理解しつつあるようです。トランプ大統領はまず、大袈裟な言動で決定を発表し、その後徐々に決定事項を覆しながら、米経済のみに恩恵をもたらす勝利を宣言します。この戦略は中国に対しては適用されませんが、トランプ大統領は自分の条件で交渉を成立させることに関心があることは明らかです。

株式市場は前向きムード

米株式市場は金曜日に再び黒字のセッションとなり、先週はナスダック100指数が上昇を牽引して大幅な上昇で取引を終えました。2022年11月以来最大となる週間で7.4%の上昇となったものの、ハイテク株の比重の多いナスダックは、最新の高値より18%下回る水準です。

市場でのリスク選好度は向上していますが、米ドルは下落し、ゴールドは上昇と別々の方向に向かっています。ゴールドは先週6.5%も上昇して、最高値である3,246ドルを更新しました。この急騰の背景にはドル安もあるようです。

ユーロ/ドルは1.1400辺りで推移しており、金曜日には2022年2月以来の最高値となる1.1473まで上昇しました。ドル円も7か月ぶりの安値となる142円台まで下落しました。ドル建て資産離れは、米国債利回りでも明らかです。米10年債利回りは4月上旬の下落分を帳消しにして、4.45%まで上昇しており、米インフレ見通しと膨れ上がる債務への対応の遅れについての市場の懸念を反映している可能性があります。

イースター休暇を控え、今週の取引時間は短縮

しかし、今週はイースター休暇を控え、米企業による決算報告やFRBメンバーの講演を含む日時も縮小されますが、本日はまずまずのスタートとなっています。4月22日に今年の第1四半期の決算報告を行うテスラに注目が集まります。

また同様に、FRBメンバーの講演も予定されており、本日はウォラー理事とフィラデルフィア連銀ハーカー総裁の講演が予定されています。両氏ともにタカ派と見られますが、今年のFOMC会合にて投票権を持つのはウォラー理事のみです。先週のFRBメンバーの発言内容は、早急な利下げをサポートするものではなかったため、今週も同様な見解が維持されるのかが注目されます。