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・相互関税の一時停止報道で米株価急落が減速
・関税の一時停止報道を米政府は否定、トランプ大統領は中国に対してさらに脅し
・交渉への期待で安全資産は後退も依然として高値近くで推移
・景気後退への懸念とOPECプラスによる増産決定で原油価格下落
トランプ大統領は相互関税の一時停止報道を否定、中国にはさらに脅し
昨日の金融市場は、投資家がトランプ大統領の関税政策を巡って相反する報道を精査しなくてはならなかったことから、プラスとマイナスの間で変動しました。
米株式市場は、米国と貿易相手国との貿易戦争2.0をきっかけに、景気後退の懸念が高まっていることを反映して、マイナスで週開けを迎えました。先週の水曜日のいわゆる「開放日」に、トランプ大統領は米国への全ての輸入品に対して一律10%の関税を課すとし、米国の最大貿易国である数か国に対して、さらに追加で相互関税を課すことを発表しました。一律10%の相互関税に関しては4月5日に発動し、追加の相互関税については明日の4月9日に発動する予定です。
トランプ大統領が中国以外の全ての国に対して、90日間の一時停止を検討しているとの報道によって、米株式市場は反発しましたが、米政府がこの報道をすぐに否定し、トランプ大統領も中国政府が先週発表した34%の報復関税を撤回しない場合は、中国からの輸入品に対して50%の関税を明日さらに追加すると脅したことから、市場の安堵感は長続きしませんでした。
相互関税を巡る交渉に市場は期待
EUもまた昨日、米国からの輸入品に対してより高い関税を課すと提案したため、トランプ大統領はこの策に反撃すると脅しました。しかし、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、EUは米政府と交渉の場を設けることに前向きであると発言しました。イーロン・マスク氏でさえ、週末にEUと米国の間では関税はゼロにすることを求めています。
そうは言っても、不安定なセッションの後、NYダウは開場時より1%近く下落して取引を終えました。S&P500も若干下落し、ナスダックはわずかにプラスでセッションを終えました。しかし、本日の先物市場は強い反発を示唆しており、おそらく投資家が、米国と同盟国との間での交渉が早急に開始することに期待しているからでしょう。
ベッセント財務長官は、フォックスニュースでのインタビューで、日本を含む「おそらく70ヵ国」が米政府に交渉を求めて連絡してきたと述べました。
ベンチマークとなる米10年債利回りは昨日4%を突破して上昇しましたが、FF金利先物は現在、FRBによる年内の合計利下げ幅を0.95%相当と示唆しています。この利下げ幅は、月曜日の前半に織り込まれた合計1.20%の利下げ幅から0.25%の利下げ1回分少ない引き下げ幅となっており、昨日の米ドルの回復が裏付けされます。
日本円とスイスフランは、トランプ大統領による攻撃的な相互関税の発表を受けて、安全資産として上昇しましたが、ともに後退しました。しかし、本日の米ドルは後退しているため、両通貨ともに回復しており、米ドル下落から、景気後退への懸念が引き続き高いままであることが示唆されています。
FRBは利下げに急ぐ気配なし、原油価格急落
一方で、FRBパウエル議長は、先週の金曜日に現段階ではFRBが政策で市場をサポートする「FRBプット」のタイミングではないと言及し、シカゴ連銀グルースビー総裁も、企業は関税について懸念しているが、FRBとしては政策の対応として、実際の経済活動に基づく「ハードデータ」を検討する必要があると述べるなど、市場ほど危惧しているようには見えません。これらの見解を考慮すると、木曜日の米CPI指数が特に上振れサプライズとなる場合、FRBが利下げを急ぐがないとの見解が裏付けされるため、FRBの今後の方針についての市場の見解に影響を与える可能性があります。
原油価格もまた景気後退への懸念を反映して、2021年4月の安値の水準まで下落しています。貿易相手国間での報復関税の応酬が原油の需要に大きな打撃となる可能性がありますが、関税だけが原油価格下落の要因ではありません。OPECプラスが石油増産計画をスピードアップさせて予想外の増産量を発表したため、供給側にも圧力となっています。