デイリーコメントートランプ大統領による4月2日発動予定の相互関税は規模縮小か

投稿日: 2025年3月24日19時35分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・先週の米ドルは黒字、市場は年内の合計3回の利下げ予想維持
・4月2日の相互関税は特定の国と業種を対象とする模様
・ユーロ後退、日銀植田総裁のタカ派発言も円安進行
・相互関税関連の報道で米株式市場は上昇示唆

トランプ大統領による相互関税は規模縮小か

先週のFOMC会合決定にて、FRBが利下げを急ぐ必要ないと見えたことを要因として、先週金曜日の米ドルは全ての主要通貨に対して続伸し、今月初めて黒字の週となりました。

FRBによる新しいドットプロットでは、引き続き年内にあと2回の0.25%の利下げが示唆されていましたが、おそらくトランプ関税政策による米経済への影響を懸念してか、市場は合計で0.70%相当の利下げを織り込んでいます。この市場観測により、今週の米ドルがほとんどの主要通貨に対して下落して始まったのかもしれません。

次のトランプ関税は、4月2日予定の相互関税となります。昨日の報道によると、相互関税は、当初示唆していたよりは、狭い範囲でより焦点を絞ったものになりそうです。

トランプ大統領は、自動車、医薬品、半導体とコモディティといった産業を対象とし、週末の報道では、広範な業界への課税ではなく、米国との大きな貿易不均等が生じている国のみを対象とすると言われています。相互関税の対象となる国は、米国の貿易相手国の15%を占めるグループで「ダーティー15」と呼ばれていると報じられています。

本日のS&P グローバルによるPMI指数に注目

トランプ関税を巡る報道以外では、本日の米ドルトレーダーは、S&P500グローバルによる3月のPMI(購買担当者景気指数)速報値とアトランタ連銀ボスティック総裁の発言を注目することになるでしょう。

本日のPMI指数では、既に発動したトランプ関税が米経済にどのように影響を与えているのかについて示唆するかもしれません。経済活動のさらなる鈍化が確認される場合、景気後退への懸念が再浮上し、アトランタ連銀総裁がFRBは春の終わりか夏の前に、利下げを行うほど明確な状況である可能性は低いとの以前の発言を繰り返すとしても、米ドルは売りの圧力に晒される可能性があります。

本日ユーロ圏のPMI指数が予想を下回り、ユーロ上昇は勢い失う

先週のユーロは15日連続の上昇後、マイナスの週となりました。ドイツ政府が財政規制緩和を決定するとの楽観ムードから、ユーロは10月初め以来の高値まで上昇しました。しかし、債務ブレーキの改正が実際に承認されると、市場はいわゆる「噂で買って事実で売る」反応によってユーロは後退しました。

ドイツの予算に関するニュースがユーロ上昇の要因となったことを鑑みると、特にユーロ圏の3月の総合PMI指数が本日予想を下回ったことから、ユーロ強気筋にとっては、米ドルが景気後退への懸念が高まりから、新たな売りの圧力に晒されていない限りは、ユーロが米ドルに対して上昇し続け、レジスタンスゾーンである1.0950を突破するのに十分な理由を見つけるのは難しいかもしれません。

日銀植田総裁のタカ派発言も円安進行

日本では、日銀植田総裁が本日参院財政金融委員会で答弁し、国内の基調的なインフレが目標に近づく場合、国債保有額損失の可能性にもかかわらず、利上げを引き続き実行していくと言及しました。

日本のインデックススワップ(OIS)によると、投資家は現在5月の日銀会合での利下げの確率を25%、6月の会合での利上げの確率を50%と予想しています。しかし、円安は引き続き進行しています。おそらく、トレーダーは日銀に対して、次回の利下げの時期についてもっと具体的な手がかりを求めているのかもしれません。

米株式市場反発も強気トレンドの再開は時期尚早

金曜日の米株式市場は、おそらくFRBが景気後退への懸念を緩和させたことから、主要3指数全て黒字で取引を終え、ナスダックが最も上昇しました。本日の米先物はさらなる上昇を示唆しており、トランプ大統領が4月2日発動予定の相互関税を縮小するとの報道によるものと思われます。

しかし、市場にとって最悪の事態を脱したと結論付けるのはまた時期尚早です。トランプ大統領の言動は予測不可能であり、また経済データが米経済が勢いを失っているとの見解を裏付ける可能性もあります。よって、早くて今週中にもリスク回避の流れが戻って来ることは否定できません。