デイリーコメントー FOMC会合での見解に市場は好反応もセンチメントは維持できるか

投稿日: 2025年3月20日19時54分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FRBは金利の据え置き決定、パウエル議長は市場の動揺の抑制に努める
・FRBの経済予測はスタグフレーションと今年さらに0.50%相当の利下げ示唆
・株式市場はプラスの反応もトランプ大統領の言動でセンチメント悪化の可能性も
・イングランド銀行は本日金融政策発表、ハト派的決定からポンドが下落する可能性

パウエル議長はインフレの見通しに落ち着いた様子

大方の予想通り、FRBは昨日のFOMC会合にて政策金利を据え置き、「様子見」の姿勢を維持しました。記者会見にて、パウエル議長は不透明な見通しについてリラックスしているように努めているようで、敏感な米株式市場をこれ以上動揺させないように励ますようなメッセージを述べました。

パウエル議長は具体的に、経済データは依然として「かなり堅調である」ことを言及し、最近の消費者によるインフレ期待の急な上昇については大事にすることなく、中期的なインフレ期待は安定していることに焦点を置きました。さらに、景気後退の可能性は上昇しているものの、それほど高くはないとも言及しました。

さらに重要な点として、FRBによる「一過性のインフレ」の見解が再度焦点となっていることです。FRBは過去にも、物価圧力は短命で、インフレが徐々に正常化されていくと示唆する際に、この「一過性のインフレ」の言葉が使ったことがあります。 しかし、この戦略は2021年から2022年にかけて失敗したことから、今回も依然と同じような結果になるのではと市場は疑っています。

FRBの四半期経済予測にはタカ派的内容も

このような発言にもかかわらず、FRBは依然としてトランプ関税によるインフレへの影響についてはかなり危惧しています。この懸念は四半期経済見通しでも明記されており、成長予測は最近の個人消費の減速を一部反映し下方修正され、トランプ関税の不透明性により、インフレ予測は上方修正されました。軟調な経済成長とインフレ上昇が同時に起こる現象は、スタグフレーションを思い起こさせるもので、米経済が1980年代初め以来長い間経験していない現象です。

昨日発表された経済予測の要旨には、タカ派的内容も含まれていました。投資家が年内に3回の利下げを期待しているにもかかわらず、ドットプロットでは引き続き、年内に2回の利下げが示唆されています。市場による今年の合計利下げ幅は0.65%に現在織り込まれており、FRBの予測よりもわずかにハト派であることが示されています。

昨日のFOMC会合での見解に対して、市場は複雑な反応となりました。昨日の米株式市場は 黒字で取引を終え、米ドルはユーロに対して大幅に上昇できず、ゴールドは新たな最高値更新となりました。ただし、本日の現時点では、ゴールドはこれまでの上昇分の一部を還元しており、ユーロ/ドルは小幅下落しています。

本日の焦点は米経済データと英中銀による政策金利発表

市場はFRBの見解を完全に検証しようと試みており、トランプ大統領による利下げ要求は材料視していない中、本日の焦点は米経済データとイングランド銀行による政策金利発表となります。パウエル議長が、米労働市場はインフレ圧力の要因ではないと言及したことから、本日の週間失業保険申請件数がこの見解を裏付けるのか、または反証することになるでしょう。

本日、スイス国立銀行が追加利下げを発表し、今後の利下げについても可能性がある中、イングランド銀行も本日金利政策決定を予定しています。イングランド銀行が利下げをする確率は非常に低くなっています。イギリスでは、失業保険申請件数が上昇しており、労働市場の軟化が示唆されおり、英経済はおそらく低迷しているようです。しかし、英インフレはイングランド銀行の目標を大きく上回っており、短期的な消費者インフレ期待は上昇しています。

昨日の比較的バランスの取れたFOMC会合を受けて、本日イングランド銀行がどれほどハト派となるかが注目となります。本日の政策会合では記者会見はないため、焦点は声明と金融政策委員会での投票結果となるでしょう。市場は9人の委員のうち2人が利下げに賛成すると予想していますが、3人が利下げに賛成票を投じる可能性も大いにあり、その場合、ユーロ/ポンドが再び上昇する可能性があります。