デイリーコメント ―トランプ関税を巡る不透明感の中、本日FRBが政策金利を決定

投稿日: 2025年3月19日19時46分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• FRBの政策金利決定を控え、米ドルはまちまち
• FRBの金利は据え置き予想、焦点は新たなドットプロットへ
• 日銀は金利据え置き決定、利上げに関する明確な見通しは示さず
• 米株式は下落、ゴールドは史上最高値を更新

FRBの政策金利決定を控え、米ドルはまちまち

昨日の米ドルはまちまちの結果となり、対円と対豪ドルにのみ若干上昇しました。NZドルとカナダドルに対してはほぼ横ばいで取引を終え、一方でユーロ、ポンド、スイスフランに対しては下落幅を拡大しました。本日、米ドルはほとんどの通貨に対して回復しています。

米ドルのまちまちのパフォーマンスは、本日のFOMC決定を前にした混乱を示唆しており、FRBがどのような見通しを示すのかを予測することが難しいことは言わずとも明らかでしょう。最近、投資家はトランプ関税によるインフレへの影響よりも米経済成長への影響を懸念しており、これは米ドルと米株価の下落、さらに利下げ観測が示すように、FRBが12月のドットプロットで示した以上に利下げを行う必要があるかもしれないということからも明白です。

先週、市場参加者は今年中に3回の0.25%の利下げを予想しており、これはFRBが予測していたより1回多いものでした。とはいえ、インフレ期待の急な高まりにより、利下げ観測が若干後退し、FF金利先物は現在、今年中に0.60%相当の利下げを示唆しています。

最新のドットプロットに注目

そのため、FRBが経済成長への懸念をより強く示すのか、それともすでにインフレには注視していないことを示すためにバランスをとれた発言を試みるのかを確信をもって予想するのは難しい状況です。FRBはインフレ見通しを上方修正し、経済成長見通しを下方修正する可能性があるでしょう。しかし、経済成長の下方修正が投資家の見方を裏付けるのに十分かどうかは不透明です。

アトランタ連銀のGDPNowモデルが2025年第1四半期中の縮小を示唆していることから、パウエル議長らはハト派寄りに傾く可能性があり、このハト派的な方向性が12月よりも多くの利下げを示す新たなドットプロットとともに発表されれば、米ドルはさらに下落する可能性が高いでしょう。

日銀は次回の利上げ時期について示さず、円は下落

日銀は本日、大方の予想通り金利を据え置きました。しかし、次回の利上げ時期についての明確な手がかりは示されず、政策当局者らはトランプ関税から生じるリスクの高まりが日本経済にどのような影響を与えるかを見極めることに時間を費やす意向のようです。

記者会見で日銀の植田総裁は、今後の利上げペースは今後のデータやその他の情報に基づいて決定すると述べ、4月上旬に向けてさらに多くのデータを見て見通しを見直すと付け加えました。

日銀の今後の方針についての手がかりが一切示されなかったことは、ややタカ派的な発言を期待していた人々を失望させ、円は直近の下げ幅を拡大しました。利上げ観測は変わらず安定しています。次回の0.25%の利上げは、変わらず9月にほぼ織り込み済みで、6月は50%の確率で織り込まれています。

リスク回避が戻り、ゴールドは史上最高値を更新、原油は67ドルを下回る

米株式市場では、ナスダックを筆頭に主要3指数すべてが下落しました。特に昨日の400人以上の犠牲者を出したイスラエルによるガザ空爆により、投資家はリスクエクスポージャーをさらに減少させており、本日のFOMC会合を前にさらに警戒感を高めているようです。リスク回避の動きは、ゴールドの上昇にも現れており、ゴールドは未知の領域へと上昇を続けています。ゴールド本日未明、3045ドルの史上最高値を記録しました。

ロシアのプーチン大統領とトランプ大統領が、ウクライナのエネルギー施設やインフラに対する攻撃を30日間停止することで合意した後、原油価格も下落に転じ、67ドルを下回りました。この合意により、石油供給途絶のリスクが軽減され、和平の可能性が高まりから、ロシアへのエネルギー制裁が緩和される可能性が高まる場合、市場にさらに石油の供給が増えることになります。