デイリーコメントートランプ大統領が中国への関税強化示唆で株価に圧力

投稿日: 2025年2月25日20時11分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・トランプ大統領は中国からの輸入品への制限強化、カナダとメキシコへの関税も期日迫る
・株価下落、エヌビディアによる決算報告が救世主となるか
・米国債利回り低下も米ドルは安定、ゴールドは利益確定から下落
・ドイツの連立政権の行方に注目、仮想通貨は続落

トランプ関税は中国標的、メキシコとカナダへの関税の行方も注目

昨日の米株式市場は、先週金曜日に売りとなった動きを受けて、乱高下したため、本日の株式市場は依然として圧力に晒されています。トランプ大統領がテクノロジーやエネルギー、そして重要なインフラなどの戦略的なセクターへの中国からの投資に対して、新たに制限を設定するよう指示したことで、先週の損失を回復しようとの試みは断たれました。

金曜日に署名された覚書には、中国との税務および会計実務の見直しが含まれています。さらに、中国製の商用船への新たな使用料も提案しており、中国への半導体輸出の制限をさらに強化する計画も示唆しています。

一方、トランプ大統領は、昨日のホワイトハウスでの記者会見にて、カナダとメキシコからの輸入品に対して25%の関税を課すると改めて脅しました。この関税については、交渉の時間確保のため、当初30日の延期期間が設けられましたが、3月4日の期限が近づいており、トランプ大統領は「関税発動は予定通り進んでいる」と記者団に言及して、圧力を強めました。

メキシコとカナダとの交渉がどれほど進展したのか、または期日の延長が可能であるのかは定かではありません。トランプ大統領は本日さらに大統領令に署名する予定のため、市場の緊張感はしばらく続くことになります。

米中間での貿易戦争悪化で株価下落

株式のトレーダーは、中国の経済成長の抑制を目的としたこの処置に対して良く反応せず、本日の香港の株価は2日連続で下落しています。最新の報道から、トランプ大統領の保護主義的な要求が抑制されないように見えることから、米株価もまた下落基調です。

昨日のS&P500とナスダック100は、前半の上昇分を還元して下落し、NYダウは何とか横ばいで取引を終えました。

E-mini先物のみが本日わずかに下落しており、欧州株は概ねプラスとなっており、株式市場のパニックが沈静化しつつあることが示唆されています。しかし、カナダとメキシコへのトランプ関税の発動と相互関税の見通しを再度持ち出す可能性もあり、回復は今のところ後退するか、長続きしそうにありません。

しかし、トランプ関税に関して新たな動きがあるまでは、明日のエヌビディアによる第4四半期の決算報告が、AI関連株の上昇に警戒感がある中、株価上昇の機会となり得るため、投資家の注目となるでしょう。

FRBによる利下げ観測高まるも米ドルは安定

為替市場では、米ドルは多少変動しましたが、全体としては安定しています。安全資産への流入と今年中のFRBによる追加利下げ観測の高まりが米国債利回りに圧力となりました。しかし、安全資産への流入はまた、米ドルへの需要増加ともなり、FRBによる利下げ観測の高まりからの圧力を帳消しにしています。

先週金曜日に発表されたS&Pグローバルによる米サービス業PMIは大幅に低調となり、トランプ政権による外交・貿易政策が不確かさであることが、企業の信頼感低下となり始めていることが示唆されました。しかし、この兆候が米経済の急激な減速に発展しない限りは、FRBが利下げを継続する可能性が高くなり、リスク選好度にとっては朗報かもしれません。

今週金曜日の米PCEインフレデータが軟調となり、投資家がFRBによる3度目の利下げを織り込み始める場合は、米ドルが下落を再開する可能性もあり、米ドルにとっては重要なデータとなりそうです。

ユーロ安定、仮想通貨とゴールドは下落

ドイツの総選挙で勝利した「キリスト教民主・社会同盟」(CDU・CSU)が、社会民主党(SPD)との連立政権樹立に向けて話し合いを始めており、ユーロは横ばいとなっています。この話し合いは合意となる見通しが高いですが、そうは言っても、話し合いでの複雑な問題が生まれる場合は、ユーロにとってはマイナスの影響となります。

一方、暗号資産市場は、仮想通貨取引所を巡るハッキングスキャンダルの中、2日連続で下落しました。ビットコインは今週8%以上も下落しています。

ゴールドもまた、1オンス2,956.15ドルの史上最高値更新した1日後に下落しています。この最高値の水準により、ゴールドは買われすぎの領域に入ったため、利益確定の動きとなりました。しかし、トランプ政権の不透明さは、今後減るどころか増す可能性が高く、ゴールドの強気筋の見通しは今のところ維持されています。