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・ディープシークの台頭で従来のAIに疑念、ナスダック3%下落、エヌビディア株暴落
・トランプ新政権による新たな関税の脅しで安全資産に資金流入、米ドル反発
・今週はカナダ銀行、FRB、ECBによる金利政策決定を控え、市場のパニック沈静化で様子見へ
ディープシークの急な台頭でAIへの巨額投資に警笛
昨日の米株式市場は 、チャットGPTに対抗する中国からのAI出現により、過去1年間分のハイテク株の上昇を導いてきたハイテク株のバリュエーション高騰を投資家が疑問視したことから、AI関連のハイテク株は急落しました。
中国のスタートアップ企業が開発したAIモデルであるディープシーク(DeepSeek)は、オープンAIなどの米国のライバルに対抗し、そのアプリがアップルとグーグルのアプリストアにおいて、チャットGPTを押しのけてトップに躍り出ました。このディープシークの突然の人気は、これまで世界的にAIを独占してきた米ハイテク大手の懸念となりました。この懸念は、AIを巡る競争だけでなく、おそらくディープシークが安値で古いテクノロジーチップを使わずに開発されたとの事実にもよるでしょう。
もし、中国を拠点とするスタートアップ企業が、これまで業界を牽引してきたAIモデルに匹敵するようなAIを開発することができるとすれば、AI競争にて優位に立つべく数十億ドルを注ぎ込んできたマイクロソフトやアルファベットなどの大手ハイテク企業にとっては大きな懸念事項です。さらに重要なことは、これまで高度なAIプラットフォームを構築するには不可欠であると見られていた高度のプロセッサーを開発するAI最大手であるエヌビディアにとって打撃となることです。
AI関連株は急落
このディープシークの台頭は、ハイテク株のバリュエーションを法外な水準まで押し上げている投資家にとっては現実を知るためのいい機会となったと見る向きもあるようです。しかし、競争の激化によってAI分野で進歩が加速し、コストが削減される可能性もあり、欧米のAI開発者にとっての警笛となるかもしれません。
さらに、ディープシークや他の同様なAIモデルが、米大手ハイテク社にプレッシャーをかけ続けるとしても、米政府が現在半導体輸出に対してあらゆる規制をかけている中、中国企業が完全に優位に立つことは難しいでしょう。したがって、2020年3月以来の半導体株の大規模な売りとなった昨日のパニックが、遅れてきた調整となるのか、またはこれ以上大きな下降トレンドの始まりとなるのかはまだ未定と言えます。
エヌビディア株は17%も急落し、時価評価額は5890億ドルの損失となりました。オラクルとAMDの株価もそれぞれ急落し、アップル株は何とか上昇したものの、アルファベットとマイクロソフトの株価も下落しました。バリュー株へのローテーションが行われているようで、AIからそれほど影響を受けていないハイテク株も含まれているようです。
また、ナスダック100指数がほぼ3.0%下落したものの、NYダウは0.65%の上昇となったことからもバリュー株へのローテーションが裏付けされます。本日の米先物は小幅上昇しており、欧州株も黒字となっており、米株式市場に比べて落ち着いていることが示唆されています。
今週の重要な経済イベントでボラティリティが再上昇する可能性も
明日はマイクロソフトとテスラ、そしてメタによる決算報告が控えており、市場のボラティリティは、再び高まるかもしれません。また、カナダ銀行とFRBも明日に金利政策決定を控えており、ECBによる政策決定も木曜日に続きます。
昨日のAIを巡る警笛によって、今週のハイテク企業による決算報告と中央銀行による金利政策決定を前に、市場がより影響を受けやすくなっている可能性があります。大手ハイテク企業による決算報告が予想を下回る場合や、FRBが確固たるタカ派姿勢を示すような場合は、株式市場でのさらなる売りを引き起こす可能性があります。
関税政策のリスクが米ドル回復のサポートに
トランプ新政権が関税政策について新たに言及していることから、警戒心が広がっています。報道によると、ベッセント財務大臣は米国への全ての輸入品に対して2.5%の関税を課し、徐々に25%に押し上げていく計画を推し進めているようです。トランプ大統領は、この報道後、関税率は2.5%よりも「はるかに大きい」税率となることを示唆し、また、マイクロソフトが中国所有のTikTokを買収する交渉を行っていることも明らかにしました。
この発言から、トランプ大統領が中国に対して軟化姿勢をとり、高い関税についても本気ではないのではとの期待は払拭され、その結果、米ドルなどの安全資産通貨がサポートされています。米ドルは本日回復しており、日本円とスイスフランは昨日の高値から若干後退しています。
しかし、ゴールドは過去24時間のリスクオフの動きから恩恵を受けていないようで、ビットコインも昨日下落しましたが、本日は反発しました。