デイリーコメントー FRBによる来年の金利見通しの上方修正に市場は調整中

投稿日: 2024年12月19日18時15分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FRBは昨日利下げ発表、来年の緩和観測は後退
・米ドルは上昇もリスクセンチメントは後退
・日銀による本日金利の据え置き発表で円安進行
・英中銀は本日現状維持か、上昇基調のポンドに圧力となるか

昨日のFOMC会合決定を受けて市場はリセット中

今年最後のFOMC会合は、パウエル議長が0.25%の利下げを発表し、最新のドットプロットでは、来年の緩和ペースが和らぐことが示唆され、予想以上にエキサイティングとなりました。米インフレ率は目標の2%に近づいており、米労働市場は現時点ではインフレ加速に拍車をかけていないことから、FRBは来年2回の利下げを織り込みました。この来年の見通しは、市場が11月の米大統領選前に予測した見通しとはかなりかけ離れています。

市場はこのFOMC会合決定に大きく反応して、積極的なリスクオフとなりました。ユーロ/ドルは11月22日の安値である1.033辺りまで下落し、ナスダック100指数を筆頭に、米株価指数は大幅な損失を被りました。S&P500に関しては、昨日の下落は全体として明らかとなり、一般消費財セクターと不動産セクターが最も大きな損失を計上しました。

ドル高がゴールドとビットコイン にも影響したことは注目すべきことです。ゴールドは、2,584ドルまで下落した後2,600ドルを超える水準まで若干回復し、ビットコインは10万ドルの大台まで回復しました。ビットコインはこの水準で推移しており、強気筋は昨日のような調整を利用しています。

日銀は本日の政策会合で現状維持決定

一方で本日の日銀による政策会合の決定は想定内となりました。国内の好調な経済データとともに、植田総裁が日銀の金融政策スタンスを徐々に引き締めることに意欲的であったため、12月初めの利上げへの期待は高まったものの、結局は冷静な姿勢を選択し、金利の据え置きが発表されました。

植田総裁の記者会見での発言で、日銀は賃金面でのさらに前向きなデータが必要であると言及したことから、3月での利上げの可能性はあります。また、植田総裁が海外経済の先行きが引き続き不透明であると述べたことも注目されます。トランプ次期大統領による第二次政権が差し迫っている他は、昨日のFOMC会合決定が日銀の本日の決定にも重要な役割を果たしており、市場は現在5月の0.25%の利上げを完全に織り込んでいます。

日銀の本日の決定によって、円安が再度進行しています。ドル/円は11月15日に更新した高値である156円74銭のレジスタンスゾーンに近づいており、現在の米ドル上昇のペースは日本政府に警戒感を呼び起こしかねません。したがって、本日のセッション中に、日本政府による一連の口頭での介入警告となったとしても驚くことではないでしょう。

本日はイングランド銀行による金利政策決定

FRBによるタカ派的な利下げを受けて、イングランド銀行も本日の政策会合にて同様な決定を行うかもしれません。しかし、最近の英経済データが強弱混合であることと、今会合では四半期報告書の発表がないことから、ベイリー総裁らは今会合では慎重なスタンスを維持すると見られます。市場はこの可能性を支持しており、現在0.25%の利下げの確率はわずか1%しか織り込まれていません。

今週の好調な英雇用統計とインフレ加速を示す英CPI指数を受けて、市場はイングランド銀行による来年の利下げはわずか2回しか織り込まれていません。より広範な環境を鑑みると、特に来年の予算案の影響が不透明であるため、この見通しはかなり楽観的であると言えます。興味深いことに、イングランド銀行への期待に相反する傾向にもかかわらず、ユーロ/ポンドは今のところ、0.8220を下回ることができませんでした。