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デイリーコメントー米ドルは圧力の中、本日の米雇用統計で回復となるか

・本日の米雇用統計に注目、ボラティリティが高まる可能性も
・FRBメンバーはブラックアウト期間を前に最後の発言機会
・米ドル下落基調、米株価指数にも圧力
・ゴールドはレンジ取引、ビットコインは最高値更新から後退

本日の米雇用統計に注目

昨日のセッションでは、米ドルが全般的に下落し、米株価指数は新たな最高値更新とならなず、本日の焦点は米雇用統計に移ります。FRBが12月18日のFOMC会合にて、ハト派となるかタカ派となるかについて公に議論されていることもあり、本日の米雇用統計の重要性は過小評価できません。

今週の米経済データは強弱まちまちとなっています。ISM製造業企業調査とADP民間雇用者数は堅調となりましたが、週間失業保険申請件数の増加と低調なISMサービス業企業調査の発表が続き、投資家は混乱しているため、本日の米雇用統計の重要性がさらに高まっています。

本日の米非農業部門雇用者数は堅調に増加か

本日の雇用統計では、民間雇用者数の急増により、11月の非農業部門雇用者数が20万件も増加すると予想されています。さらに、失業率は、10月よりも0.1％上昇となる4.2％になり、平均賃金の伸びは3.9％に緩和すると予想されています。また市場は、コロナ禍以来最低の件数となった10月の失業保険申請件数1万2千件が修正されるかにも注目することになりそうです。

本日の米雇用統計が好調となる場合は、特にアトランタ連銀のGDPNowよると、第4四半期のGDP成長率を現在3.3％の成長と示唆していることから、米経済の差し迫った減速への懸念を緩和するのに大いに役立つ可能性があります。この場合、来週の米インフレレポートが下振れサプライズとならないと仮定して、FRBが2週間以内に利下げを行うことが極めて困難となるかもしれません。米ドルはこのシナリオから恩恵を受けており、ユーロに対しての最近の損失の取り戻しています。

反対に、本日の米雇用統計が低調となる場合、特に非農業部門雇用者数が7万5千件を下回り、10月の数値も上方修正されない場合は、FRBによる12月18日の利下げの可能性が後退するかもしれません。FRBメンバーは来たるトランプ政権による関税政策の影響について既に神経質になっているため、現段階での0.25％の追加利下げは理にかなっているでしょう。このシナリオでは、米ドルは特に日本円とポンドに対して若干下落する可能性があります。

株式市場は本日の米雇用統計にどのように反応するか

本日の値動きに関する重要な問題は、米株価指数がどのように反応するかです。低調な労働市場を示唆する経済データによって、FRBによる12月の利下げ観測が高まり、トランプ次期大統領による大幅減税の可能性も高まります。一方、好調な労働市場を示唆する経済データは、FRBによる追加利下げの可能性を押し下げます。しかし同時に、感謝祭後の支出に示されるように、米経済が引き続き堅調であることの確認ともなり得ます。

米雇用統計とは関係なく、FRBメンバーによる発言もブラックアウト期間を前に注目となるでしょう。シカゴ連銀グルースビー総裁とクリーブランド連銀ハマック総裁も本日は講演する予定ですが、注目となるのは、パウエル議長よりもタカ派と見られているボウマン理事とサンフランシスコ連銀デーリー総裁の発言となりそうです。

豪ドルとカナダドルは対米ドルで重要な水準に

本日の米経済カレンダーは極めて忙しくなりそうですが、来週の経済カレンダーも4つの中央銀行による金利政策発表が控えています。オーストラリア準備銀行とカナダ銀行は、それぞれ豪ドルとカナダドルが、米ドル対して重要なレベルで取引されている中での政策会合となります。豪ドルは対米ドルで3か月ぶりの安値で推移しており、ドル／カナダドルは、本日の経済データが米ドルに有利となる場合、4年半ぶりの高値と更新する可能性があります。

さらに、円相場が引き続き150円台辺りで取引される中、日本円が米ドルに対して健闘していることも注目となります。本日の国内での所得と家計支出が堅調だったこともあり、日銀が12月19日の政策会合にて利上げを行う可能性が後退しました。

ゴールドはレンジ取引、ビットコインは新最高値から後退

最後に、ゴールドは引き続き2,600ドルから2,670ドル内のレンジ相場となっており、ビットコインは昨日急変動しました。ビットコインは10万4千ドルをわずかに下回って取引された後、新最高値を更新し、大きな利益確定の動きとなり、現在の水準まで押し戻されました。このようなボラティリティにもかかわらず、暗号資産市場はトランプ氏による新しいSEC指名から恩恵を受けて、引き続き明るいムードを維持しています。