デイリーコメントー今月の米利下げ観測高まる、フランスでは政局混乱

投稿日: 2024年12月4日19時25分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FRBメンバーは追加利下げ支持
・12月でのFRBによる0.25%の利下げ観測高まる
・ユーロのトレーダーはフランスでの政局の行方に注目
・韓国ウォンは一時的な戒厳令で下落、豪ドルは軟調な豪GDPで下落

本日の重要な米経済データに注目

昨日の米ドルは主要通貨に対して強弱まちまちとなりましたが、本日はほとんどの主要通貨に対して上昇基調のようです。

昨日発表されたJOLTSによる10月の求職件数は予想を上回ったものの、FRBが12月18日のFOMC会合にて利下げを行う確率は73%まで押し上げられました。

この動きの背景には、おそらく何人かのFRBメンバーが追加利下げについて支持する発言をしたことがあるでしょう。しかし、どのメンバーも12月での利下げを強く主張していません。サンフランシスコ連銀デーリー総裁は、次回のFOMC会合での利下げは全く可能性がないわけではないと述べ、シカゴ連銀グルースビー総裁は、来年の金利は現在の水準よりも大幅に引き下げられるかもしれないと述べました。

そうは言っても、12月のFRBによる金利を据え置く確率は低下したものの、1月の会合での金利据え置きの確率は61%を維持しています。この確率が押し上げられるかどうかは、今後の経済データとFRBのメンバーによる発言次第となるかもしれません。

金曜日の重要な米雇用統計を前に、本日はADPによる民間雇用者数、S&P500グローバルによるサービス業と総合PMI指数、そしてISMによる非製造業PMI指数などの11月の米経済データの発表が続きます。FRBパウエル議長も講演を予定しています。本日の経済データが好調となり、またFRBは利下げを急いではいないとの見解をパウエル議長が繰り返す場合、市場は1月での金利据え置きの確率を上方修正する可能性があり、その結果米ドル上昇の追い風となる可能性があります。

ユーロ圏の政情不安がユーロの重荷に、ラガルド総裁の本日の議会発言に注目

ユーロの強気筋は、米ドルに対して大幅な上昇を望んでいますが、ユーロ圏に関する報道は、特に政治面では不利となっています。フランス議会は本日、バルニエ政権に対する不信任投票を行う予定で、マクロン大統領の昨夜の発言にもかかわらず、不信任案が否決されれば非常に驚きの事態となるでしょう。フランス議会での最大政党らは、バルニエ政権による大幅な増税と支出削減を含む予算案に対して公然と反対の意を表明しています。

不信任案が可決される場合、フランスの政治は振り出しに戻ることになります。マクロン大統領は新しい首相を任命せざるを得なくなるでしょうが、マクロン大統領率いる同盟政権が議会の過半数に達していないという事実から、新政権も再び失敗に終わる運命にあるでしょう。ある段階で、マクロン大統領は新しい議会選挙の実施を検討するか、野党が政権を樹立することを許可するかの選択に迫られるでしょう。

ドイツでは2月に総選挙が予定されており、アメリカではトランプ次期大統領が来年に政権を発足させ、政策の実行を始めることから、ユーロ圏の政治情勢がユーロの重荷となり続ける可能性があります。その結果、ECBを取り巻く環境は、再び困難な状況にならざるを得なくなるかもしれません。市場は、利下げ幅についてはまだ明確ではありませんが、12月のECBによる利下げを織り込んでいます。

ECBラガルド総裁は本日、欧州議会の経済通貨委員会にて議会証言を行う予定です。この四半期ごとの議会証言はニュースの見出しとなる傾向はありませんが、来週のECB会合を前に、ラガルド総裁が見解を示す可能性があります。

韓国での政治混乱、軟調な豪GDPで豪ドル下落

その他の地域では、韓国の尹大統領が政敵内の「反国家勢力」に対抗するため、非常戒厳を宣布したため、韓国のウォンは2022年11月以来の低水準まで下落しました。

この報道により、広範なリスク選好度はほとんど影響はありませんでしたが、韓国では議会での否決と国民からの抗議となり、戒厳令は解除されました。さらに、尹大統領は現在、議会による弾劾議案の呼びかけに直面しています。

本日、オーストラリアのGDPデータが予想を下回ったことから、市場がオーストラリア準備銀行による利下げ観測を押し上げられました。そのため、豪ドルには売り圧力となり、本日最も下落しました。このGDP発表前には、オーストラリア準備銀行は5月に最初の0.25%の利下げを行うと予想されていましたが、現在は4月の政策会合での利下げが予想されています。