デイリーコメントー流動性低下と月末取引が米ドルへの圧力を維持するか

投稿日: 2024年11月29日18時54分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米市場は昨日の感謝祭で本日早引け、米ドル下落
・流動性低下によって、本日の市場の動きが悪化の可能性も
・本日はカナダGDP発表、ユーロ圏のCPI指数は下振れのサプライズか
・東京のCPI指数加速で日銀の利上げ観測の後押し、円高進行

市場は波乱に満ちた12月へ準備態勢

昨日の感謝祭により、本日の米市場は開場も早引けとなるため、今週は大きな展開が先延ばしとなる中、静かに終わる可能性が高いでしょう。今週はFRBメンバーの発言が表立たず、地政学上リスクが話題を独占しました。ウクライナとロシア間の紛争は依然として緊張状態にあり、両国とも長距離ミサイルによるさらなる攻撃を準備していると言われています。

反対に、イスラエルとヒズボラとの間の停戦は前向きな一歩となりましたが、この停戦合意を維持することは、より困難な課題となりそうです。こういった進展の中で、今週のゴールドは下落で終え、今月はマイナスの月となるようです。11月のゴールドは、FRBが金利を「より高く、より長く」維持するとの予想から約4.7%下落した2023年9月以来最も軟調な月となります。

11月はリスク資産上昇

米大統領選など、11月は非常に波乱に満ちた、ボラティリティの高い月となっています。リスク資産は上昇し、暗号資産市場が最も恩恵を受けました。ビットコインは100,000ドルを突破できずに下落したにもかかわらず、11月は37%も上昇し、他の主要仮想通貨はさらに上昇しました。

米株式指数は強弱まちまちの決算報告を乗り越え、NYダウ指数が上昇を牽引する形で11月は黒字で終えそうです。しかし、今月の主役は小型株で、ラッセル2000指数は今年2度目の月次10%以上のリターン達成に近づいています。通常のサンタクロース・ラリーが来月に見込まれることを考慮すると、米株式市場がホリデーシーズンまでに楽に黒字にとどまる可能性があることが予想されます。

11月のドル高は一部例外あり

米ドルも今月は大幅に上昇し、ポンドとユーロ の上昇を凌ぎました。もちろん例外はあり、カナダ銀行が非常にハト派となったにもかかわらず、ドル/カナダドルは今月0.5%ほどしか上昇していません。本日のカナダの第3四半期GDPレポートが上振れとなる場合、この傾向が逆転する可能性があります。

ユーロ強気筋は対米ドルの損失の一部回復試みる

ユーロにとって、11月は非常に軟調となり、全般的に下落しました。今週、ユーロの強気筋が回復に努めていますが、ユーロの見通しは概ね弱気のままです。ユーロ圏の経済データも低調となっており、12月のECBによる大幅利下げを支える材料となっていることから、ユーロの強気筋にとっては強い逆風となっています。

先週の低迷なユーロ圏のPMI調査を受けて、ユーロ圏のCPI指数が本日発表となります。ドイツの総合CPI指数が前年比で2.2%上昇と予想を0.1%下回ったため、ユーロ圏の総合CPI指数も同様に下振れとなるリスクがあります。

本日のユーロ圏のCPI指数が予想を若干下回るとしても、12月のECBによる政策会合での見通しに変更はないでしょう。市場は現在20%の確率で0.50%の利下げを予想しています。しかし、本日の米市場の早引けによる流動性低下によって、市場の反応が悪化する可能性があり、ユーロ/ドルがサプライズの結果に対してより強く反応するかもしれません。

東京のCPI指数加速で円高進行

本日、東京の11月の消費者物価(CPI)指数が上昇したことから、日銀が20日後に利上げを行う可能性が示唆され、円高が進行しました。特に、総合CPI指数とコアCPI指数ともに、市場の予想を上回って加速しました。国内の小売業のデータが低調となったにもかかわらず、ドル/円は再び長い赤のローソク足を記録し、150円を下回りました。