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・トランプ次期大統領はカナダとメキシコ、中国への関税強調
・トランプ氏の発言で米ドル上昇、主要通貨ではカナダドルが最も下落
・NZ中銀は明日大幅利下げ発表か
・イスラエルとヒズボラ間の停戦間近との報道でゴールドと原油価格下落
トランプ氏、カナダ、メキシコ、中国に対して関税表明で脅し
トランプ次期大統領がカナダとメキシコからの全ての輸入品に対して25%の関税と中国からの輸入品に対して追加で10%の関税を課すると発言したため、本日の米ドルは上昇しました。
この発言によって、主要通貨ではカナダドルが最も打撃を受け、中国と貿易関係で密接な関係にあるオーストラリアの通貨である豪ドルも打撃を受けました。そうはいっても、メキシコペソは、カナダドル以上に打撃を受けており、市場がメキシコのさらなる混乱を予想していることを示唆しています。
さらに、中国からの輸入品に追加で10%の関税を課するの発言は、それほど脅威には聞こえませんが、トランプ氏は以前、中国に60%以上の関税を課すと脅しており、投資家は最終的にどのような展開となるのか固唾を飲んで見守ることになりそうです。
トランプ氏の発言は、ファンドマネージャーであるベッセント氏を財務長官に指名した直後のこととなりました。ベッセント氏の関税に対するスタンスはトランプ氏よりも軟化であると見られているため、財務長官への指名によって、米ドルと米国債利回りは下落しました。おそらく、トランプ氏としては、大統領選前のキャンペーン中に約束したことに逸脱しないことと、誰が仕切っているのかを世界中に思い出させたかったのかもしれません。
本日のFOMC会合議事録公開前にFRBによる金利据え置きの確率高まる
強引な関税政策は、米インフレを再度加速させる可能性があり、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁が来月の追加利下げの可能性を示唆したにもかかわらず、市場は12月18日のFOMC会合での金利据え置きの確率を45%と高く設定しています。
過去数年間、カシュカリ総裁はFRBの政策ではタカ派で知られており、カシュカリ総裁の発言が市場の予想に影響を与えなかったという事実からも、投資家がどれほどトランプ氏の発言に注目しているかが明らかになりました。したがって、トランプ氏による関税の脅しが強まる場合、米ドル上昇が加速し、FRBが年末に金利を据え置く可能性が高まる可能性があります。
本日後半には、前回のFOMC会合の議事録が公開となりますが、パウエル議長が借入コストの引き下げを急ぐ必要はないと発言するなど、FRBメンバーが既に意見を述べていることもあり、また特にトランプ氏の関税に関する発言が市場に影響を及ぼしていることもあり、この議事録の公開は古い情報として扱われるかもしれません。
NZ中銀は明日0.75%の利下げ決定か
NZドルもトランプ氏の発言から打撃を受けましたが、この発言による損失は早くも取り戻しました。おそらく、明日のニュージーランド準備銀行による政策金利発表を前に、市場は積極的なポジショニング控えているのかもしれません。
明日の政策会合にて、ニュージーランド準備銀行が2会合連続で0.50%の大幅利下げを行う確率は60%となっており、0.75%の利下げの可能性も40%と見られています。したがって、0.50%の利下げを決定する場合、0.75%の利下げを期する投資家の失望となることから、前向きに捉えられる可能性さえあります。
停戦合意間近との報道でゴールドと原油価格は下落
イスラエルとレバノンのヒズボラとの間との停戦が36時間以内に発表されるとの報道から、昨日のゴールドと原油価格は急落しました。地政学的緊張が高まる中、ゴールドは安全な避難先として選択されており、原油価格は供給不足への懸念から恩恵を受けていました。その結果、停戦合意のニュースによって、反対に下落となりました。
そうはいっても、この下落が大きな下落トレンドの始まりとなるかを検討し始めるのは時期尚早と言えます。ゴールドに関していえば、ウクライナとロシア間は依然として緊張状態にあり、安全資産としての需要がある程度見込める可能性があり、一方でトランプ氏の関税政策によって、中国政府が再度ゴールドの購入を再開する可能性もあります。原油価格に関しては、世界的な需要が低迷する中、停戦のニュースによって、OPECプラスが石油生産制限の撤廃を延期する理由となり得ます。