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・バイデン大統領がウクライナに長距離ミサイル使用許可でゴールド反発
・日銀植田総裁は12月での利上げ示唆せず、円安進行
・トランプトレード後退で株式市場は強弱まちまち
バイデン大統領が長距離ミサイル許可でウクライナ紛争悪化
昨日日曜日、バイデン大統領がウクライナにロシア領内への長距離ミサイルの使用を許可したことから、ウクライナとロシア間の紛争が危機的な状況となりました。長距離ミサイルの許可はNATOによって戦争行為と見なわれるとロシア側が警告を発していたため、バイデン大統領はこれまでその許可に抵抗していました。
気温が急激に低下し始めた頃合いを見計らって、ロシア政府がウクライナの発電所への攻撃を開始した後に、この決定が下されました。そうは言っても、トランプ新大統領が就任するまで、バイデン大統領による任期が残り2か月しかないことから、この決定のタイミングには疑問が残ります。
トランプ新大統領が、バイデン大統領のこの決定を覆すか、または何らかの形で紛争を緩和させるのかの可能性は、原油市場の反応がない理由となっているのかもしれません。ウクライナが、長距離ミサイルの標的をロシアの石油施設に決定したとしても、市場は石油供給にはそれほど大きな打撃にならないと考えているようです。
しかし、この決定は関係者全てにとって大きな進展であることに変わりはなく、米国とその同盟国が中東での紛争解決に苦労している中に行われました。したがって、本日のゴールドは地政学的要因を背景に、2週間の低迷から回復して約1%上昇しています。
米ドルは中立的局面に突入か
しかし、米ドルも円もそれほど買い手を引くことができず、今のところ、ゴールドが安全資産の中で最も恩恵を受けています。
米国債利回りは、トランプ氏の大統領選勝利によるラリーが収束し始めたため、ピークに達しているようで、米ドルも現在の水準を突破するのに苦労しているようです。しかし、大統領選の結果にかかわらず、利下げ観測は後退しているため、大幅な調整とはならないと見られます。
FRBパウエル議長は先週、他のFRBメンバーに同調し、米経済が好調で、インフレが期待したほど早いペースで低下していないことから、FRBが利下げに急ぐ必要はないことを示唆して、タカ派発言を強調しました。先週の金曜日に発表された米小売売上高も予想を上回り、この好調な米経済は裏付けされました。
今週の経済カレンダーでは、S&Pグローバルによる各国のPMI速報値の発表と、FRBメンバーの講演などが市場に方向性をもたらす材料となる可能性が高いです。
日銀植田総裁は利上げ言及なしで円安進行
一方で、日銀植田総裁が本日、慎重なスタンスを示唆したことから市場の失望感となり、日本円は先週金曜日の回復を維持することができませんでした。植田総裁が本日の講演にて、次回12月18日から19日にかけて開催される政策会合での利上げについて示唆するのではとの憶測が広がっていました、しかし、植田総裁はいかなる可能性も排除せず、引き締めバイアスを明らかに維持した一方で、利上げのタイミングについては相変わらず曖昧なままとなりました。
植田総裁の発言後、日本円は1ドル155円辺りまで下落しました。
トランプトレード一段落で、水曜日のエヌビディアの決算報告に注目
米株式市場は、国債利回りの上昇とトランプ新大統領の閣僚人事に対する疑念がセンチメントの重荷となり始めたことから、主要指数は、先週の大統領選後の上昇の大部分を還元しました。本日のE-mini 先物と世界の株式市場は強弱まちまちとなっています。
トランプ大統領再任の見通しが、米株式市場にとってどれほどプラスとなるかについて、市場とっては現実を再認識する機会となりましたが、水曜日のエヌビディアによる決算報告を前に、警戒感が高まるとともに利益確定の動きとなる可能性もあります。