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・FRBパウエル議長のタカ派発言で米株価は週間で損失へ
・米ドルも最高値更新ならず、本日の米小売売上高に注目
・日本政府の口頭での介入警告で円高進行、ユーロも回復
パウエル議長の発言で12月での利下げに疑問視
昨日、FRBパウエル議長が金融緩和のペースについて慎重な姿勢を見せ、先週のFOMC会合でのタカ派的見解を繰り返したことから、FRBの利下げ観測は大きく後退しました。パウエル議長は、ダラス連銀主催でのイベントにて、堅調な雇用統計と経済成長に関するデータを強調し、「経済は、利下げを急ぐ必要性についていかなるシグナルも発していない」と述べました。
しかしながら、FRBが早急な利下げについて慎重となる大きな要因として、インフレに関するデータがここ最近期待外れとなっている可能性が高いと言えます。FRBは、インフレ低下が緩やかであることに満足しているとの見解を公に示していますが、おそらく、インフレ進展に不満足であることを示唆するほど率直ではないのかもしれません。ただし、パウエル議長は最近の傾向を「時折困難な道のり」と表現したことから、FRBとしてはインフレの進展への懸念が高まっているようです。
今週の米CPI指数とPPI指数が下振れサプライズとなることをFRBが望んでいたことは明らかで、パウエル議長自身の予測によると、10月のコアPCE指数は2.8%に小幅上昇するとされています。この予想では、インフレが目標である2%に到達するにはまだ道のりは長く、市場は水曜日の米CPI指数をほぼ無視した後、現実を直視する状況となっています。
米国債利回りと米ドルは若干の上昇に止まる
このパウエル議長の発言によって、12月のFOMC会合での0.25%の利下げの可能性は約85%から約63%まで後退し、次回の利下げは来年6月まで完全に織り込まれていません。市場は、来年6月以降は年末までにたった1回の0.25%の利下げが行われると見ています。
米国債利回りと米ドルは一時的に上昇した後下落したため、FF金利先物での価格調整は債券市場にとっても、それほどのサプライズではなかったようです。
米株式市場は不安定
一方で米株式市場への影響はより顕著で、S&P500は0.6%下落し、ナスダック100も0.7%下落して取引を終えました。
米大統領選後のラリーとテスラ株の5.8%下落を考慮すると、米株式市場での売りは抑えられています。テスラ株の下落は、トランプ新大統領がバイデン政権下での電気自動車に対する税額控除を廃止するとの報道を受けたことが要因といえます。
ディズニー株は、2024年度にストリーミング事業が黒字に転じたとの報道を受けて6.2%急騰し、市場の明るい材料となりました。本日後半には、アリババによる決算報告が注目となるでしょう。
本日の米小売売上高もまた市場の注目となり、予想を上回るデータとなる場合は、12月の利下げ観測がさらに後退する可能性があります。
円高、ユーロも回復、ポンドは安定
本日のユーロは、明らかな材料はないものの回復しました。パウエル議長のタカ派発言を受けて、米ドルが上昇を拡大できなかったことによって、ユーロがテクニカルなリバウンドとして回復した可能性が高いようです。しかし、ECBが12月の政策会合にて0.50%の利下げを行う確率が高まっているため、この上昇は長続きしないかもしれません。
イギリスの経済成長が第3四半期の予想を下回ったにもかかわらず、ポンドは1.2665ドル付近で安定して推移しています。中国での10月の小売売上高が予想を大幅に上回ったことから、豪ドルは小幅上昇しました。
しかし、最も上昇した通貨が日本円で、加藤財務相がここ最近の円安は「一方的である」であり、政府としては「行き過ぎた動きには適切な対応を取る」と警告を発したことから、円高が進行しました。米ドルは対日本円で156円台から155円40銭まで下落しました。