デイリーコメントー米CPI指数後米ドル下落もFRBメンバーのタカ派見解で米ドル上昇

投稿日: 2024年11月14日19時55分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・予想通りの米CPI指数で米利下げへの期待が高まる
・FRBのタカ派見解で利下げ期待後退、米ドルは1年ぶりの高値まで上昇
・株価下落もゴールドの下落続く

米CPI指数後、FRBメンバーは利下げ慎重で米ドル上昇

米大統領選後の米ドル急騰は衰える兆しはなく、本日の米ドルは、主要通貨に対して1年ぶりの高値まで上昇し、主要通貨にとっては打撃となっています。この上昇には、昨日の米CPI指数が完全に予想通りとなったことが起因しています。

米総合CPI指数は2.4%から2.6%に上昇し、コアCPI指数は3.3%で横ばいとなり、インフレ圧力の粘着性を示唆しました。しかし、CPI指数が予想以上に加速しなかったという事実に、市場は当初は好材料と受け止め、米ドルは小幅下落しましたが、FRBメンバーはそれほど歓迎していないようでした。

ダラス連銀ローガン総裁は、FRBは利下げを「慎重に進める」べきであると述べ、セントルイス連銀ムサレム総裁もこの発言に同調しました。ローガン総裁はまた、フェデラルファンド(FF)金利は予想中立金利の上限にあるとまで述べ、追加利下げの余地が最小限であることを示唆しました。カンザスシティ連銀シュミッド総裁も、今後の利下げがどの程度引き下がるのかについて疑問を呈しました。

本日は、FRBパウエル議長が20:00(GMT)にダラス連銀でのパネルディスカッションに参加する予定で、発言内容が注目されます。本日はまた、米10月の生産者物価(PPI)指数と週間失業保険申請件数も13:30(GMT)に発表されることから、市場の注目となるでしょう。

円安は政府介入ゾーンへ

昨日のドル円相場は、昨年日本政府による為替介入ゾーンとなった155円台を突破したことから、この新たなドル高は日本政府によって悩みの種となっています。しかし、今のところ、日本政府からの新たな介入警告がないことから、米ドルは本日、一時的に156円を上回りました。

円安によって、日銀が遅かれ早かれ利上げを行う可能性が高まりますが、今のところは日本円はサポートを見つけるのに苦労しそうです。

ユーロもまた圧力を受けており、1年ぶりの安値である1.0528ドルまで下落しました。一方、ポンドと豪ドルは、それぞれイングランド銀行とオーストラリア準備銀行のタカ派姿勢から、何とか安定して推移しています。

オーストラリア準備銀行は、2025年第2四半期前まで利下げを行わないと予想されており、中国政府による景気刺激策が中国経済の活性化に結び付いていないものの、豪ドルの大幅な売りは回避できたようです。

株式市場には依然としてトランプ氏勝利の影響残る

トランプ氏の大統領選勝利を受けて、アジア経済の成長見通しへの懸念が悪化しているため、アジアの株式市場はより圧力を受けています。欧州の株式市場もまた、米大統領選後に下落しましたが、本日は前向きな勢いとなっているようです。米先物もまた黒字に転じました。

市場がFRBの利下げ観測を修正する中、米株式市場のラリーは一段落しました。12月の利下げの可能性が再度高まる中、2025年は、FRBが緩和政策のペースを減速させて、四半期ごとに利下げを行う可能性が高いと見られています。

共和党が上院とともに、下院でも過半数の議席獲得したことが明らかになったことで、トランプ新大統領の政策が議会を通過する見通しとなり、短期的には、今後の楽観的な見方が米国株を支えています。しかし、米国債利回りが依然として上昇しており、米株式市場のラリーが今後どれほど継続するのかを判断するのは困難です。

ゴールド続落、暗号資産は再び急騰

トランプ氏勝利を祝う余韻の中、ゴールドは恩恵を受けておらず、本日のゴールドは9月中旬以来の水準である2,540ドル辺りまで下落を拡大しています。

一方で暗号資産は急騰しています。昨日のビットコインは93,483ドルの最高値を更新した後90,500ドル辺りで落ち着きました。また、マスク氏が支持するドージコインも暗号資産市場で急騰しており、大統領選後に130%以上も急騰しています。