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・トランプ新政権下での関税への懸念でユーロ他の主要通貨下落、ドル高続く
・ビットコインと米株式市場は最高値更新も世界の株式市場は下落
・トランプ氏による対中強硬派起用の報道からゴールドは恩恵受けられず
トランプトレードによる市場の牽引続く
トランプ新大統領による閣僚任命についての詳細を待つ中、新政権下の政策がどのような影響を及ぼすのかについての憶測が依然として市場の話題を独占しています。米ドルは主要通貨に対して、4カ月ぶりの高値まで上昇しました。
しかし米ドルは、トランプ氏の選挙公約がインフレの加速を伴うと見られ、当初は押し上げられたものの、最近のドル高は、米国との間に生じる貿易摩擦再燃への懸念から、主要通貨が下落していることに起因しています。
ユーロとポンドは下落幅を拡大
欧州連合がトランプ新政権下によって、自動車や鉄鋼などに対する関税引き上げの可能性に対応する準備をする中、本日のユーロは7カ月ぶりの安値となる1.0621ドル近くまで下落しました。ドイツの連理政権の崩壊と解散総選挙の可能性を受けて、ドイツの政情不安もまた、ユーロ下落に拍車をかけています。
本日、9月までの3か月間で英失業率が4.0%から4.3%まで跳ね上がったことから、ポンドも1.2800ドルに近づく水準まで下落しました。
中国政府の刺激策とトランプ新政権下の関税が市場の重荷に
日本円もが下落しており、中国政府による景気刺激策の発表が、また市場の期待外れとなったことから、豪ドルとNZドルもまた下落基調です。中国政府は、地方政府支援のために、6兆元相当を債務交換すると発表した数日後に、住宅購入者へのさらなる減税を計画を発表しました。
中国政府によるこれらの景気刺激策は市場には歓迎されますが、投資家らはいずれの刺激策も直接に消費者支援を目的としていないことに懸念を示しているため、失望感に繋がっています。大型景気刺激策の欠如とともに、トランプ新政権への不安によって、世界中の株式市場の打撃となっています。
米株式市場上昇も世界の株式市場は下落
米国が台湾積体電路製造(TSMC)の中国向け出荷停止を命じたことで、TSMC株は3%以上も下落したことから、本日は半導体株の売りとなり、マイナスなセンチメントに拍車がかかっています。
トランプ氏の返り咲きから恩恵を受けると見られる株式の購入に投資家が急いでいるため、米株式市場は上昇していますが、世界の株式市場は上昇とはなっていません。トランプトレードによって、最も恩恵を受けている株の一つはテスラ株で、先週39%も急騰しました。マスク氏とトランプ氏による密接な関係がテスラの株主に利益をもたらしているようです。
昨日のS&P500は、初めて6,000レベルを突破して取引を終えましたが、米株式市場の勢いも失速しているようで、本日の米先物は赤字に転落しました。
ビットコイン急騰、ゴールド下落
ビットコインの桁外れの上昇は後退する兆しを見せておらず、本日前半に89,983ドルの史上最高値まで急騰しました。暗号資産推進派であるトランプ氏の姿勢が暗号資産市場の新時代の幕開けをもたらすことを市場は期待しています。
しかし、トランプ氏の大統領選勝利以来、ゴールドはそれほど恩恵を受けていません。大統領選後、主にドル高の影響からゴールドは約5.7%下落しました。しかし、トランプ氏が中東紛争とウクライナ紛争を早期に終わらせることができるのではとの期待も、ゴールドの足かせとなっている可能性があります。
報道によると、トランプ氏が対中強硬派で知られるルビオ上院議員とウォルツ下院議員をそれぞれ国務長官と国家安全保障担当補佐官に任命するのではと言われていますが、米国の政策が他国との間でどのような影響を与えるのかはまだ未定です。
トランプ新政権に関する報道の他には、今週は水曜日に米CPI指数の発表があり、木曜日のFRBパウエル議長の講演とともに市場の注目となるでしょう。