デイリーコメントー様々なニュースが交錯する中、前向きなセンチメント続く

投稿日: 2024年11月11日19時51分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・トランプ氏返り咲きに市場はお祝いムード
・ゴールドと原油価格下落、ビットコインと株価は上昇
・日本では少数政権発足、日銀の「主な意見」はサプライズなし
・ドイツ政権が解散総選挙に向かう中、ユーロに圧力

トランプ氏は大統領引継ぎ準備開始

市場は引き続き、トランプ氏の大統領への返り咲きと先週木曜日のFOMC会合でのハト派的な利下げ決定について精査しており、多くの市場参加者は現在、トランプ氏による新内閣の今後の方針について推測しているところです。トランプ氏は既に、イスラエルのネタニヤフ首相とロシアのプーチン大統領、そしてウクライナのゼレンスキー大統領と率先して話す機会を持ちました。

ゴールドと原油価格は依然として下落基調

米大統領選の結果を受けて、ゴールドは打撃を受けており、11月初旬の高値から約3%下落しました。ゴールドは現在、2,650ドルを超えて取引されており、中東紛争とウクライナ紛争、そしてトランプ新大統領の予測不可能な行動の可能性を踏まえて、今後の見通しは依然としてほぼ強気トレンドと言えます。

同様に、中国経済、そして世界経済成長への懸念が高まるにつれて、原油価格も下落基調です。土曜日に発表された中国のインフレ指数が依然として軟調となり、特に生産者物価(PPI)指数がマイナス領域でさらに下落したことから、市場はデフレーションを懸念しています。また、金曜日に発表された地方政府の債務については、市場が不十分であるを判断したことに加えて、中国経済の勢いは依然としてマイナスのままです。一方、中国は米国との貿易戦争の可能性にも備えており、トランプ大統領の第1期に比べて、米国による関税に対処するのはより困難となる可能性があります。

株式市場と暗号資産市場はラリー

反対に、株式市場と暗号資産市場は、トランプ氏の大統領選勝利から恩恵を受けています。S&P500は先週4.7%上昇し、今年で最高の週となりましたが、ラッセル2000指数のパフォーマンスには及びませんでした。小型株指数であるラッセル2000指数は、先週8.6%も急騰し、2020年4月以来最高の週となりました。

暗号資産市場でも、ビットコインが約81,800ドル という最高値を更新し、市場は90,000ドルに向かっての上昇ラリーが続くと予想しており、上昇基調となっています。他の主要な仮想通貨もまた上昇しており、イーサリウムは、米大統領選投票日以来、約30%も急騰していますが、多くの仮想通貨は依然として最高値を大きく下回っています。

一部米市場は本日祝日により閉場

本日は米国にて退役軍人の日となり、一部の市場が休場ということもあって、比較的静かなセッションなようです。今週は、水曜日の米CPI指数や金曜日の米小売売上高など、重要な米経済データが控えています。また、一連のFRBメンバーによる講演も予定されており、トランプ氏による新政権関連のニュースも目白押しとなることが予想されています。

一方、ユーロに圧力がかかる中、米ドルは大統領選後の上昇を維持しています。ユーロ/ポンドは、コロナ禍が始まった2020年4月以来の安値である0.83000を一時的に下回りました。特に、ドイツ経済がユーロ圏で最も軟調となっていることから、トランプ氏による新政権下となる今後4年間をユーロ圏が乗り切れるかについて、市場は悲観的な見方をしています。

ドイツでは、ショルツ首相による2025年3月 の選挙案が裏目となり、野党は今週中に信任投票を進めて、1月中旬にも解散総選挙を行うように求めています。この環境下、市場はECBが次回12月の政策会合にて、0.50%の利下げを行う確率を15%と織り込んでいますが、来週のユーロ圏のPMI速報値が予想を下回る場合、この確率が押し上げられる可能性が高いでしょう。

石破氏新首相に再選出も今後の見通しに暗雲

本日発表となった日銀による10月政策会合の「主な意見」では、多くの政策委員が引き締まり政策を続けることで一致したことが明らかとなり、サプライズはありませんでした。ただ、円安について懸念を表したメンバーがいたことには注目すべきでしょう。一方で、自由民主党の石破党首は本日、国民民主党が第3党として連立政権のパートナーとなることを否定したため、過半数に満たない少数与党として、首相に再選出されました。