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・先週金曜日の非農業部門雇用者数は2020年12月以来の低水準
・米大統領選のアイオワ州の世論調査結果で米ドルはマイナスでスタート
・米大統領選直後のFOMC会合での決定に注目
・豪中銀は明日金利政策決定、金利は据え置きか
低調な米非農業部門雇用者数も米ドル上昇
先週金曜日の米ドルは、先月の非農業部門雇用者数が1万2千件と減速し、2020年12月以来の小幅上昇となったかかわらず、ほとんどの主要通貨に対して上昇しました。
米非農業部門雇用者数は驚くほどの減速となったものの、米労働市場と広範な米経済の健全性を示唆するには適切ではないと判断されました。実際に、10月は、航空機メーカーの工場労働者によるストライキとハリケーンの影響から、給与徴収期間が短縮されたために、雇用の伸びがほぼ停滞しました。回答率も47.4%まで低下し、1991年1月以来の低水準となり、また、過去5年間の10月の平均である69.2%を大きく下回りました。
世論調査ではアイオワ州でハリス氏リード、米ドル後退
そうは言っても、本日の米ドルは、金曜日の上昇を維持することができず、土曜日の世論調査によると、米民主党大統領候補であるハリス氏がアイオワ州にて3ポイントのリードとなったことから、本日のセッションはマイナスでスタートしました。アイオワ州は、トランプ氏が2016年と2020年の大統領選で快勝し、9月の調査でも4ポイントのリードを示唆していました。
トランプ氏は、減税と特に中国製品に対しての輸入関税を約束しており、これらの政策はインフレの加速を伴うと見られています。したがって、トランプ氏が大統領に再任される可能性が高まる度に、インフレ率上昇がFRBによる利下げの鈍化となることを意味するため、米ドルが上昇しました。そのため、米ドルの下落は、トランプ氏がアイオワ州で劣勢であるとの世論調査に対する市場のマイナスな反応なのかもしれません。
また、ハリス氏が大統領となる場合、現政権を引き継ぐと見なされるにもかかわらず、トランプ氏とインフレ加速を伴う政策が勝てなかったという理由だけで、米ドル下落となる見方の裏付けともなります。
今週のFOMC会合の決定は大統領選の結果に左右されるか
新大統領がFRBの決定にどのような影響を及ぼすかは、大統領選の2日後に決定される木曜日のFOMC会合にて明らかになるでしょう。大方の予想では、FRBが0.25%の利下げを行うと考えられていますが、12月の会合にて、金利を据え置く可能性は十分あります。
先週金曜日の米雇用統計前は、FRBが12月の会合にて金利を据え置く可能性は30%でした。しかし、米非農業部門雇用者数の減速と、トランプ氏がアイオワ州にて劣勢であるとの世論調査を受けて、その可能性は17%付近まで低下しました。トランプ氏が大統領に再任された際に、FRBが今週の会合において、将来的な利下げについて、もっと慎重な姿勢を見せる場合は、米国債利回りがさらに上昇し、米ドルも上昇する可能性があります。
豪中銀は明日の政策会合にて金利据え置きか
明日のオーストラリア準備銀行の決定も注目となるでしょう。オーストラリア準備銀行はまだ利下げを実施しておらず、前回9月の会合でも基調的なインフレが依然として高止まりしていることを指摘しました。
オーストラリアでのインフレは依然として高止まりしていることから、オーストラリア準備銀行は明日の政策会合にて利下げを決定する可能性は低いです。市場は12月の会合でも利下げを織り込んでおらず、わずか20%の確率と見ています。
したがって、オーストラリア準備銀行がしばらく利下げを行わないことが今週確認される場合、豪ドルは早速上昇となるかもしれませんが、中国経済を救済すべく中国政府が景気刺激策を進めることに市場が確信を持てるまでは、豪ドルの下落トレンドの反転とはならないかもしれません。今週、中国の全国人民代表大会常務委員会が開催され、景気刺激策についての詳細が明らかとなるかについて注目となるでしょう。