デイリーコメントー好調な決算報告で米株価上昇、米大統領選への懸念からゴールド上昇

投稿日: 2024年10月30日19時31分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・トランプ氏優勢との見方から、米ドルとゴールドは引き続き上昇
・大手ハイテク社の好調な決算報告への楽観ムードでナスダック最高値を更新
・今週は欧米の重要な経済データ続く、英予算案にも注目

米大統領選への懸念が市場のセンチメントに反映

米大統領選では、共和党候補であるトランプ氏が世論調査にて支持率を伸ばしており、昨日の市場のムードは、依然として米大統領選への懸念の高まりが反映されました。大統領選まで1週間を切り、トランプ氏とハリス氏による大統領選争いは接戦となっています。

減税や規制緩和といった公約にもかかわらず、トランプ氏のリーダーシップが混乱や対立的なスタイルであることから、市場は依然として、トランプ氏が大統領に再任される見通しに慎重となっています。特に、トランプ氏の政策は関税の引き上げが含まれることから、米経済にとってはインフレ加速となると見られています。

世論調査において、トランプ氏がハリス氏のリードとの差を縮めて以来、米国債利回りは急上昇しています。トランプ政権にてインフレが加速するとの予想から、昨日の10年債利回りは、4カ月ぶりの高水準である4.339%を更新しました。しかし、本日の米財務省による次の四半期の借入額計画の発表を控え、市場は様子見となり、国債利回りも後退しました。

ゴールドとビットコインは上昇基調

この国債の売りから、ゴールドが最も恩恵を受けているようです。ゴールドは、主に中東での地政学上の緊張を背景として、3月以来の最高値を更新しています。しかし、最近のゴールドの上昇は、米大統領選の行方の不透明さから拍車がかかっています。

ビットコインもトランプ氏再選の可能性が高まるにつれ、上昇しています。世界最大の暗号通貨であるビットコインは、トランプ氏が大統領として選出された際には、デジタル資産への規制当局の監視を緩和するだろうとの期待から、今週6%以上も急騰しました。

国債利回りの上昇と堅調な米経済から米ドル上昇

米ドルも当然上昇しています。利回りが1年ぶりの低水準から回復したことに加え、米経済の堅調さによって、投資家らが来年にかけてのFRBによる大幅な利下げ観測を後退せざるを得なくなったため、米ドルを押し上げています。

来週のFOMC会合にて、FRBは今年2度目の利下げを行う可能性が高いです。しかし、来週のFOMC会合では、今後の利下げについての手掛かりにより注目が集まるでしょう。また、本日の第3四半期米GDP速報値など、会合前に発表される一連の重要な米経済データの発表から、市場は来週の会合への手掛かりを探すことになるでしょう。

ユーロと豪ドル上昇、ポンドは本日の英予算案次第

今週のユーロは上昇幅を拡大しており、ユーロ圏の第3四半期のGDP速報値を前に、そして、本日ドイツのGDP速報値が予想外に上振れとなった後、ユーロは1.0840ドルまで小幅上昇しています。

イギリスは本日、労働党による最初の秋季予算案を備えており、今週のポンドも米ドルに対していくらかの損失分を取り戻しました。リーブス財務相は、本日の12:30(GMT)に秋季予算を発表する予定で、大幅な増税となると予想されています。

この予算案が企業への税負担が重すぎて、景気刺激策も十分でないと市場が判断する場合、来週のイングランド銀行による政策会合でのハト派的スタンスを決定づけることから、ポンドが下落する可能性があります。

一方、本日、オーストラリアのCPI指数が予想を上回って加速したことから、オーストラリア準備銀行による2025年第2四半期までの利下げ観測が後退したため、豪ドルは上昇しました。

大手ハイテク株による好調な決算報告続く

米株式市場では、米国債利回りの上昇がダウ・ジョーンズとS&P500の重しとなりました。しかし、昨日セッションにて、ナスダック100は、大手ハイテク株の急騰から最高値を更新しました。アルファベットによる決算報告が予想を大きく上回ったことから、閉場後にアルファベット株が急騰し、本日も引き続き上昇する可能性があります。

本日も、大手ハイテクによる決算報告が引き続き、マイクロソフトとメタが、米株式市場閉場後に報告する予定です。