デイリーコメントーイスラエル報復で原油価格下落、日本の総選挙結果で円安進行

投稿日: 2024年10月28日19時53分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・イスラエルはイランに対し報復攻撃で自制示すも原油価格とゴールドは下落
・自民党が衆議院総選挙で過半数割れ、円安進行
・世論調査でトランプ氏に勢いで米ドル上昇、今週は重要な米経済データに注目

イスラエルによるイラン報復攻撃も軍事施設標的で安堵感

土曜日にイスラエルがイランを報復攻撃したことに投資家らが反応したため、本日の原油価格は取引開始とともに急落しました。中東での紛争は1年が経ち、紛争が拡大する中、イランによる10月1日の攻撃に対して、イスラエルは軍事施設のみを対象に慎重に対応しており、金融市場広範に安堵感が広がりました。

イランはこの報復に対してどのような選択をするのか検討しており、両国間の報復攻撃は、まだ終焉を迎えそうにはありません。しかし、イスラエルの標的は、厳格に軍事施設に限られており、石油生産施設や核施設は除外されていることから、2国間での攻撃は引き続き自制されるとの期待が高まっています。

しかし原油価格については、短期的には大きくマイナスとなっており、原油先物は約5.0%の下落となりました。今のところは、全面戦争は回避されているようですが、ゴールドにも打撃となり、約0.60%下落しました。

石破首相による衆議院総選挙は裏目に、円安進行

安全資産である日本円にも売りの影響がなかったわけではありませんでしたが、日本円にとっては、国内の政治が広範な下落の最大の引き金となりました。石破新首相による衆議院総選挙は、昨日の投票日に与党自民党と公明党による連立政権の獲得議席数が過半数を割ったことから、思惑通りとはなりませんでした。

石破首相は辞任を求める声を聞かず、首相の座に残ることを表明しましたが、連立政権を拡大するため、他の政党に協力を求める計画はないことを示唆しました。そのため、国内の政情不安の幕開けとなる可能性があり、世論調査にてトランプ氏とハリス氏の接戦が予想される米大統領選を1週間後に控え、投資家らには警戒感が高まっています。

米経済と日本経済の不安定な政治の見通しが日本円の大きな圧力となり、本日のセッションの前半にて、米ドルは3か月ぶりの高値となる153円87銭を更新しました。日銀は、今週木曜日の政策会合にて、金融政策を調整する可能性は低く、国内政治の混乱が一段落するまで待つことになりそうです。

今週は重要な経済データと決算報告続く

米大統領選まであと1週間余りとなり、世論調査におけるトランプ氏の勢いは止まる気配はなく、ハリス氏の支持が低下する中、民主党はパニックに陥っています。トランプ氏再選時に生じるリスクにもかかわらず、米国債利回り、そして米ドルはトランプ氏の政策がインフレ加速を伴うとの予想から上昇しています。

しかし、大統領選を前に、市場にはいくつか試練が待ち受けています。米財務省は、水曜日に四半期定例入札の計画の詳細を発表しますが、新規債券発行規模が拡大となる場合は、国債利回りがさらに上昇するかもしれません。水曜日にはまた、第3四半期の米GDP成長率の推定値も発表となり、木曜日の米PCEインフレ数値とともに注目となるでしょう。今週の金曜日には、重要な米雇用統計の発表もあります。

ユーロにとっても、今週はユーロ圏のGDP速報値とCPI指数が発表となるため、大事な週となります。本日のユーロは、1.08ドルを若干上回って安定していますが、今週の経済データがECBにとっては利下げ観測の高まりとなっても、FRBにとっては後退となる場合は、ユーロには新たな圧力となる可能性があります。

今週はまた、アルファベット、マイクロソフト、メタ、アップル、そしてアマゾンといった一連のハイテク大手による決算報告を控え、株式市場にとっても重要な週となります。