デイリーコメントー生ぬるい市場環境の中、米ドルは方向性模索

投稿日: 2024年10月9日18時13分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・本日は、FRBメンバーの講演と9月のFOMC会合議事録公開に注目
・米ドル上昇は一段落も原油価格とゴールドも下落基調
・NZ中銀は本日の政策会合にて0.50%の利下げ発表、NZドル下落
・中国株急落で、中国政府は再度記者会見を行い景気刺激策発表予定

FRB幹部、11月の利下げを引き続き支持

多くのFRB幹部がほとんど毎日のように発言するなど、FRBの次のステップに関する公の議論は続いています。先週の米雇用統計が好調だったにもかかわらず、FRB幹部全員の意見が金融緩和を続けると予想外にも合意しているようです。実際、9月のFOMC会合で発表されたドットプロットでは、年末までに0.25%の利下げが2回予想されています。

興味深いことに、市場は0.50%の利下げが実施される可能性を早々に排除し、11月7日のFOMC会合で利下げが実施されない可能性を12%と現時点では織り込んでいます。実際にFRBが金利を据え置く場合、特に米株式市場において急激な市場反応を引き起こす可能性があるため、現段階では非現実的と思われます。

とはいえ、本日のFOMC議事録と木曜日に発表される米消費者物価(CPI)指数は、見通しをやや複雑にする可能性があります。9月の0.50%利下げはほぼ全会一致で承認され、ほとんどのFRB幹部はそれ以降、公に支持を表明しています。しかし、米労働市場の好調が続き、賃金の上昇が維持され、インフレがさらに緩和されない場合、FRBの今後の対応についての様々な発言は興味深いものとなるでしょう。

米ドルは地政学リスクの恩恵を受けるか

米ドルは先週の非常に強い伸びを受けて、さらなる上昇を記録するのに苦労しています。FRBの利下げ観測が修正され、米ドル強気派は、地政学的な要素などの他の要因からの後押しを求めているようです。中東では、イスラエルとイランの間で一進一退の攻防が続き、市場はイスラエルが報復攻撃を行うと推測しています。

バイデン米大統領の圧力を受け、イスラエルはイランの核施設への攻撃を回避する模様です。昨日の報道では、イスラエルは最終的に軍事施設のみを標的にするかもしれないと述べられていましたが、イランの石油産業が焦点となるかもしれません。その結果、コモディティ市場は今週、稀に見る損失を出しています。ゴールドは1.5%近く下落する一方で、WTI原油先物は74ドルを下回る水準で推移しています。

NZ中銀は本日の政策会合で利下げ、今後の追加利下げも示唆

ニュージーランド準備銀行は本日、予想通り0.50%の利下げを発表しました。この決定に伴う声明では、インフレの見通しについて、多少自信をもっていると全体的にハト派の内容となりました。市場は現在、今年最後となる11月27日の会合にて、0.50%の追加利下げの可能性を80%に織り込んでいますが、この決定には、今後のFRBによる決定と中国での動向次第となりそうです。

結果として、NZドルは豪ドルと米ドルに対して下落しました。NZドル/ドルは重要な 水準で取引されていることも注目されます。0.6060ドルを下回る場合は決定的となり、調整が長引く可能性もあります。

中国政府は再度記者会見開催で景気刺激策を発表予定

昨日の中華人民共和国国家発展改革委員会での記者会見は、市場に要求に応えるよりは、疑問が生じる結果となり、中国株はマイナスに反応しました。本日の上海総合指数は深刻な赤字となり、中国政府は対応を迫られました。中国財務省は、土曜日に新たに2兆元の財政刺激策を発表する予定です。中国政府が現実的かつ意欲的な政策を発表できない場合は、市場がさらにマイナスに反応する可能性があります。