デイリーコメントー好調な米雇用統計で米ドル上昇

投稿日: 2024年10月7日18時43分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・好調な米雇用統計でFRBによる0.50%の追加利下げ観測後退
・本日もFRBメンバーによる講演続く
・米ドル上昇、株価も予想外に上昇
・原油価格上昇もゴールドの後退続く

米雇用統計は上振れサプライズ、FRBハト派は不満げ

今週は、市場参加者が予想以上に堅調であった米雇用統計の結果を精査する中、市場にとって引き続き活気のある週が始まりました。11月7日のFOMC会合で0.50%の追加利下げが実施される可能性は、数々の雇用統計の上方サプライズによって大きく低下し、ハト派でさえ、米国経済が確実に堅調に推移していることを認めています。

本日のミネアポリス連銀カシュカリ総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁、セントルイス連銀ムサレム総裁、FRBボウマン理事から始まり、今週は10人以上のFRBメンバーの利下げ観測に関する意見が聞けることとなりそうです。 米国の好調なデータを受けて期待値を現実的な目標にしようと試みるハト派は別に、タカ派が11月の追加利下げにどのように対処するかが注目となるでしょう。興味深いことに、木曜日に発表される9月の消費者物価指数がまたもや上振れサプライズとなれば、利下げ観測に関する議論はさらに複雑になる可能性があります。

米ドルは週足で好調な推移

米ドルは金曜日に発表された米雇用統計の恩恵を大いに受け、2022年9月23日以来の高水準を記録しました。特に、ユーロ/ドルの修正が影響し、本稿執筆時点では1.1000ドル台を割り込み、ドル/円は148円を超える急上昇をみせています。

米ドルへの反映はほぼ予想通りでしたが、株式の動きにはいくつかの疑問が残る形となりました。これまでは、FRBが金融緩和を継続するとの予想が市場の勢いに拍車をかけていました。しかし、市場はこれまでの見解を変えたかのように、米国経済の底堅さにより関心を寄せ、満足している様子が見受けられ、米株式は高値で取引されました。

中東からのニュースは依然としてネガティブなものであったため、この株式市場への反応はさらに興味深いものとなりました。残念なことに、イスラエルとイランは週末も互いに攻撃の手を緩めず、終わりの見えない攻撃を続けています。本日で、ハマスによるイスラエルへの残忍な攻撃から1年となります。イスラエルは先週のイランのミサイル攻撃に対する報復を検討しており、その対応としてイランの核施設を標的にする可能性もある中、停戦や和解に向けた交渉は破綻しています。

何らかの合意を求めるバイデン大統領からの圧力は続けられるとみられ、合意がされれば、ハリス現副大統領の米大統領選に大きな追い風となる可能性があります。残り30日を切り、米大統領選挙は終盤戦を迎えており、両陣営の発言はより過激になることが予想されます。

原油価格上昇、ドル高でゴールドは下落

原油価格は一時的に76ドルを突破するなど上昇しており、その結果、9月初旬の安値から13%も上昇して取引されています。エネルギー、原油、そしてガス施設が中東紛争の標的の上位となっていることから、強気トレンドが継続するかもしれません。

一方、リスクセンチメントの改善と米ドル上昇で、ゴールドは2,650ドル付近を下回りました。ゴールドは4セッション連続で赤字ですが、ゴールドの調整が長引くには、好調な米経済指標の発表が続き、イスラエルとイランでの紛争に関するポジティブなニュースが必要となるでしょう。