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・レバノンへの攻撃の報復として、イランはイスラエルにミサイル攻撃
・米ドル、日本円、ゴールドは安全資産として上昇基調
・中東情勢の悪化から石油供給への懸念高まり原油価格反発
・今週の重要な米経済指標を前に米株式市場は後退
イランによるイスラエル攻撃で、米ドルが安全な逃避先に
月曜日のFRBパウエル議長の発言を受けて上昇した後、火曜日の米ドルは、米ドル高に拮抗した日本円を除く、ほとんどの主要通貨に対して上昇幅を拡大しました。
とはいえ、そのきっかけとなったのは、FRBによる2回連続の0.50%利下げ観測が薄れたことではなく、イランがレバノンの親イラン派武装組織ヒズボラに対する軍事行動への報復としてイスラエルへミサイル攻撃したことでした。米ドルはリスク回避の恩恵を受け安全逃避先となり、これは通常米ドルと連動して動く米国債利回りが後退したことからも明らかです。
米ドルを安全の逃避先として後押ししている証拠としては、昨日発表された米経済指標がそれほど芳しいものではなかったことも挙げられます。9月のISM製造業購買担当者景気指数は縮小圏で横ばいとなり、物価指数と雇用指数の両サブインデックスはさらに低下したため、投資家は11月の会合でFRBが2回連続で0.50%の利下げを実施する確率を40%程度に引き続き織り込まれています。
投資家による利下げ予測が動くのは、木曜日のISM非製造業購買担当者景気指数と金曜日の非農業部門雇用者数の発表後となるかもしれません。とはいえ、イスラエルと米国はイランへの報復を公言しており、更なる紛争拡大への懸念から、当面は米ドルや円などの安全通貨がサポートされる可能性があるでしょう。
ゴールドは新最高値更新となるか、原油価格も力強く回復
中東情勢の悪化による安全な避難所と言えばゴールドとなっており、昨日のゴールドは、米ドルが上昇したにもかかわらず1%以上回復しました。市場がさらなる紛争の激化を懸念する場合、ゴールドは上昇し続け、新領域を更新する可能性が高いです。いつか地政学上の緊張が緩和するとしても、世界の主要中央銀行が利下げを続けると予想される中、ゴールドは上昇する運命にあるのかもしれません。
昨日の攻撃は原油に最も影響を及ぼしました。中東情勢の悪化が石油生産の混乱となるとの懸念から、WTI原油価格は、昨日の安値から8%以上も反発しました。ここ最近、原油市場は世界経済の見通しの悪化から主に下落していましたが、地政学上の動向と中国政府が経済活動再起に向けて意欲を示していることからも、原油価格の上昇はしばらく継続するかもしれません。
米株式市場は後退、ECB利下げ観測高まりユーロ下落
米株式市場の主要3指数は、中東での紛争悪化から下落基調となり、ナスダックが最も下落しました。しかし、広範な上昇トレンドは脅かされていません。この後退がしばらく続くとしても、米経済が引き続き好調であるとの新たな経済データから、投資家が再度買いに動くかもしれません。
FRBはここ最近、労働市場の状況を強調しており、金曜日の米雇用統計が堅調である場合、その結果、FRBによる大幅利下げ観測が多少後退するとしても、株式市場での買い意欲が復活する可能性があります。
その他では、ユーロ圏のインフレ指数が2021年以来初めて2%を下回り、またECBのラガルド総裁が欧州議会にて、最近の動向でインフレ率が速やかに目標に戻るというの自信が強まり、今後の金融政策に反映されるべきだと言及したことで、ユーロは下落しました。この発言で、市場はECBが10月と12月の政策会合にて、それぞれ0.25%の利下げを行うことを完全に織り込みました。