デイリーコメントーFRBパウエル議長の利下げ慎重論で米ドル上昇も維持なるか

投稿日: 2024年10月1日18時18分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FRBパウエル議長は大幅利下げに慎重姿勢
・この発言で米ドル上昇、米株価も当初のマイナス反応から反発
・本日のユーロ圏のCPI指数減速予想でECBが今月追加利下げの可能性も
・石破新首相が10月下旬解散総選挙表明で 円安

FRBパウエル議長は慎重な対応を支持

中東情勢、とりわけイスラエルによるレバノンの地上侵攻開始に世界中が注目する中、FRBパウエル議長が11月の利下げ幅に関して発言をしました。米国経済がかなり堅調に推移しているにもかかわらず、市場はさらなる0.50%利下げ予測に徐々に傾いていました。しかし、パウエル議長は、FRBは今後は0.25%ずつの利下げに留まり、年末までに合計0.50%の利下げを発表する可能性が高いと示唆しました。

この見方は、おそらくほとんどのFRB幹部と共有していると思われますが、昨日米アトランタ連銀のボスティック総裁が発言したように、金曜日に発表予定の非農業部門雇用者数などの労働市場に関するデータ次第で、11月7日に開催されるFOMC会合での0.50%の利下げ決定の確率を上げる可能性がありそうです。

米ドルは好調、本日はFRB幹部の発言とデータに注目

米ドルはパウエル議長の発言にプラスに反応し、全体的に上昇しましたが、ゴールドは最近の上昇分のごく一部を失う結果となりました。興味深いことに、米国株の週初めのネガティブな反応はすぐに反転し、S&P500は月曜日のセッションをプラスで終えました。本日はアトランタ連銀ボスティック総裁、クック理事、リッチモンド連銀バーキン総裁、ボストン連銀コリンズ総裁を含む多数が発言するため、FRBによる利下げ観測についての続報が聞けることでしょう。一方、本日は今週の主要な経済データ発表の幕開けとなり、ISM製造業購買担当者景気指数とJOLTS求人件数に注目が集まるでしょう。

こうした動きの中、米副大統領候補者による討論会が本日行われる予定です。 先日のハリス現副大統領とトランプ氏の議論ほどの重要性はないものの、J・D・バンス現上院議員とティム・ウォルズ現知事の両候補は選挙日まであと35日というところで支持者を集めようとするでしょう。ハリス氏が世論調査でリードしている中、トランプ氏の伴走者であるバンス氏には、トランプ氏の過激な発言によって失われたであろうより中道派の有権者の一部を取り戻す責任がのしかかります。

本日のユーロ圏CPI指数は予想以上に下振れか

現在、市場は労働市場に関するデータに特に着目していますが、本日はユーロ圏の9月のインフレレポートが発表されます。金曜日に、フランスとスペインのCPI指数がともに予想を下回り、昨日もドイツとイタリアのCPI指数が減速したことから、ユーロ圏の総合CPI指数が、予想の前年比1.9%をさらに下回る可能性が高いといえます。

ECBのラガルド総裁は昨日、雇用の伸びが鈍化し続けていることに言及し、本日のコアCPI指数が2.7%を下回る場合は、2週間後の政策会合にて0.50%の利下げを行う可能性が大幅に高まるかもしれません。

日銀の追加利上げにはさらなる障害も

日本では、石破新首相が10月27日に解散総選挙を表明したことから、本日の日本円には圧力がかかっています。石破氏率いる自由民主党は、新議会では最多の議席数を獲得し、新政権を樹立することが予想されていますが、日銀の次回会合である10月31日の4日前に行われる解散総選挙は、日銀が金融政策をさらに引き締めようとする上で、新たな障害となります。

FRBが11月と12月のFOMC会合にて緩和政策を行う意向である中、本日公開された日銀の「主な意見」でのバランスの取れた見解と全体的に強弱まちまちの国内経済データを鑑みると、日銀が追加利上げを行うタイミングがさらに狭まりつつあるのかもしれません。