デイリーコメントー米PCE価格指数を受け、FRBによる連続大幅利下げ観測

投稿日: 2024年9月30日18時48分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米総合PCE指数の軟化でFRBの0.50%追加利下げの可能性高まる
・今週はFRB議長講演、米ISM製造業/非製造業PMI指数と米雇用統計に注目
・石破新総裁が金利政策の緩和示唆で円高一段落
・豪ドルとNZドル、中国株価は中国政府による景気刺激策から上昇基調

市場はFRBによる連続0.50%利下げ実施に十分な可能性を見出す

米ドルは金曜日に発表された8月の米総合PCE指数は予想以上に鈍化した影響を受け、より重要なコア指数は前年比で2.6%から2.7%に上昇したものの、ほとんどの主要通貨に対して下落しました。

おそらく、コア指数の上昇が予想されていたため、あるいは今回のインフレデータが個人所得や消費支出の鈍化とともに発表されたためか、米ドルは下落傾向となりました。これにより投資家は、FRBの今後の動向に関してハト派的観測を維持することができています。FF先物によると、投資家は年内にさらに0.75%相当の利下げ幅を予想しており、11月に0.50%の利下げが連続して実施される確率は54%としています。

投資家は、FRBが今後どのように動くかを見極めながら、今週の米ISM製造業、非製造業購買担当者景気(PMI)指数と米国非農業部門雇用者数に注目するでしょう。しかし本日は、パウエルFRB議長とボウマンFRB理事の発言に注目が集まるかもしれません。先週、ウォーラー理事とカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は、今後の利下げ幅を緩やかにすることを明確に支持しましたが、パウエル議長とボウマン理事が同様の見解を持つかどうかはまだわかりません。

石破新総裁の発言で円は安定、明日は日銀の「主な意見」に注目

日本では石破氏が与党自民党の新総裁に選出されたことで、先週の金曜日は円高となりました。石破氏は明日、新首相に指名されます。

対立候補であった高市氏は日銀による利上げに反対していることで知られている一方で、石破氏は過去に積極的な金融緩和政策を批判しました。そのため、12月までに0.10%の追加利上げの可能性が67%辺りまで再度高まったことで円高となりましたが、石破氏が金利政策は緩和の方向性を維持すべきだと言及した後、本日の円相場は安定しました。石破氏はまた、10月27日に解散総選挙を行う考えを表明しました。

明日のアジアセッションでは、日銀の政策会合での「主な意見」が発表となるため、市場は日銀が年内に追加利上げを行うのかについて、手掛かりやヒントを探ることになりそうです。

中国政府による景気刺激策で、豪ドルとNZドルは上昇

中国人民銀行による利下げと銀行システムへの資本注入といった景気刺激策から、リスク連動通貨である豪ドルとNZドルは恩恵を受けており、中国の株式市場も先週、およそ16年ぶりとなる最善のパフォーマンスを記録しました。

本日は、9月の中国のPMI指数が発表があり、工場活動が5か月連続で縮小し、サービス業も予想以上に減速したことが明らかになったため、おそらく財政面からも、さらなる景気刺激策が近いうちに必要となることが示唆されました。

中国の上海総合指数は、本日さらに8%上昇しましたが、明日から1週間にわたる大型連休である国慶節が始まることから、今週の残りは休場となります。

米株式市場は今週の重要な米経済データ待ち

米株式市場は、ダウ・ジョーンズのみが金曜日に新たな史上最高値を更新して黒字で取引を終えましたが、S&P500と特にナスダックはともに下落しました。

しかし、この後退も株式市場の強気トレンドの終焉を示唆するものではありません。米経済が以前懸念されたよりも好調であると示唆する経済データなどによって、今後利下げ回数の減少が予想されるとしても、投資家らはリスクエクスポージャーを増大させる可能性があります。今週の米ISM製造業/非製造業PMI指数と雇用統計が米株式市場にとっては次の試練となりそうです。