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・FRB議長と他のメンバーの講演を前に米ドル回復
・中国経済への楽観ムードでアジア株はラリー、米先物もプラスに
・スイス国立銀行は本日0.25%の追加利下げ発表、ECBは10月での利下げ検討か
FRBのハト派転換への期待も米ドルは安定
米ドルは、水曜日に大きく反発し、FRBによる政策金利発表後の損失の一部を取り戻した後、木曜日には底堅く推移しています。FRB幹部の発言がハト派的であるにもかかわらず、この反発は続いているため、投資家は、労働市場やインフレの状況が急速に悪化しない限り、0.50%の追加引き下げは実施しないという意見をあまり重視していないようです。
FRBへのハト派的な見通しによって、米ドルは中央銀行が利下げを開始している国の通貨に対しても下落しましたが、米国株価は過去最高値を更新しています。しかし、債券市場は異なる様相を呈しており、先週のFRBによる政策金利決定以来、米国債10年利回りは安定して上昇しています。
逆イールドカーブならず、米ドルのサポートに
米国債 2年利回りは昨日2年ぶりの低水準を記録しましたが、米国債10年利回りは3.80%弱まで回復し、イールドカーブが逆転しないよう維持されています。これは一般的に、景気後退のリスクが低下していることを示唆するものであり、好ましい展開であると考えられますが、同時に投資家は、現在のFRBの極めて緩和的な金融政策が将来的に高いインフレを引き起こす可能性があること予測していることを示唆しています。
したがって、この短期金利と長期金利の乖離が、FOMC会合後の米ドルの下値を抑えている可能性があり、特に7月の安値から13%以上も上昇している日本円に対する下落を制限しているのかもしれません。ドル/円相場をさらに押し上げた要因として、本日未明に公表された7月の日銀の金融政策決定会合の議事要旨が挙げられます。この中で、追加利上げのペースについて政策委員らの意見が割れていることが明らかとなり、ドル/円は145円を超えました。
しかし、市場の予想が今後数週間でFRBの今後の予測と一致していくとしても、米金利は他の主要経済よりも急速に低下する可能性があり、このためユーロとポンドのような主要通貨は、コモディティ連動通貨とともに上昇しています。
スイス中銀は本日追加利下げ発表、本日FBR議長講演、ECBの10月利下げ観測でユーロ下落
米ドルの回復は、スイスフラン高がスイス国立銀行の悩みの種であるスイスフランにとっては少なくても朗報となっています。本日、スイス国立銀行は、予想通り3会合連続で金利を0.25%引き下げ、1.00%としました。スイス国立銀行が0.50%の利下げを実施して、外国為替市場に強力なシグナルを送るのではとの憶測もありましたが、本日の政策会合決定と声明にはサプライズの要素はなく、スイスフランは米ドルとユーロに対して小幅上昇しました。
本日の焦点は、13:20(GMT)に米国債市場会議にて予定されているFRBパウエル議長の講演となります。FRBの追加利下げのペースについての新たな手掛かりが示される場合、米ドルと株価に大きな影響を及ぼす可能性が高いでしょう。
一方でユーロは、ECBのハト派が10月の利下げを推進しているとのロイターの報道を受けて、本日前半の上昇分を還元して、1.1120ドルから1.1130ドルの領域まで下落しました。
中国政府による刺激策から株価は好調なムード、原油価格下落
株式市場では、中国が大手国有銀行に1,420億ドルの資本注入を行う計画を発表した後、アジア株が好調なムードに包まれました。米半導体メーカーのマイクロン・テクノロジーが好調な決算を報告し、ハイテク株を押し上げ、株式市場のラリーを後押ししました。
昨日の米株式市場での落ち着いたセッション後、米先物は本日上昇しています。コモディティーでは、ゴールドは米ドルの回復でも影響はないようですが、原油価格はサウジアラビアとリビアからの供給増加が期待される中、リスクオンのムードから恩恵を受けることができませんでした。