デイリーコメントーユーロ圏のPMI軟化でユーロ下落、今週のFRBメンバー発言前に米ドル安定

投稿日: 2024年9月23日18時47分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・ユーロ圏のPMI指数は縮小圏に低下、ユーロ下落
・PMI軟化は中国政府の刺激策への期待に影、株価は強弱まちまち
・FRBウォラー理事発言で米ドル小幅上昇、今週のパウエル議長の発言と米PCEインフレに注目

ユーロ圏の景気後退への懸念再浮上でユーロ下落

本日の9月のユーロ圏PMI速報値によると、企業活動は予想外に縮小したことが示唆されたため、ユーロ圏の経済への懸念が再浮上しています。S&P500グローバル総合PMIによると、ドイツの製造業生産高が1年ぶりの低水準に落ち込み、フランスのサービス業も50.0を下回ったことから、ユーロ圏の総合PMI指数は、8月の51.0から9月は48.9に低下しました。

夏季オリンピックによる8月の回復も短命に終わり、市場がECBによる追加利下げのタイミングを10月ではなく、12月と修正した後、このユーロ圏の経済の暗い見通しとなりました。

ECBが緩和サイクルを慎重に開始したのに対し、FRBが0.50%の大幅利下げで開始したことによって、ユーロは8月の高値近くまで反発しました。しかし、本日のPMI指数により、市場はECBが10月にて0.25%の追加利下げを行う確率を上方修正し、PMI指数のリリース前の70%から約77%に押し上げました。

ユーロは1.11ドルを下回って下落し、ポンドも圧力を受けました。

今週はFRBメンバーの発言に注目

米ドルは日本円に対しては下落し、豪ドルやNZドルに対しては横ばいとなりましたが、上昇基調で今週のスタートを切りました。先週の金曜日に、FRBのウォラー理事が、今年の残り2回のFOMC会合にて0.25%の利下げに賛成票を投じる可能性を示唆したことから、年内にもう一度0.50%の利下げが行われる可能性は若干後退しました。

しかしウォラー理事は、FRBによる大幅利下げは、労働市場の悪化によるものではなく、インフレがFRBの目標を達成できないことへの懸念が主であることを示唆したため、景気後退への懸念は和らぎました。

ウォラー理事はまた、米PCE物価指数の過去3か月の伸びが年率ベースで低下していることに特に言及したため、FRBがインフレの測定に好む今週金曜日の8月のPCE物価指数が注目されています。

その他の今週の焦点は、木曜日のFRBパウエル議長による講演と、本日のシカゴ連銀グルースビー総裁とミネアポリス連銀カシュカリ総裁の講演となりそうです。

株価は中国政府の利下げと刺激策への期待からサポート受ける

本日の米PMI速報値は、来たる企業の決算シーズンに疑念が生じる中、予想を下回る場合は株式市場にも不安材料となる可能性があり、注目されるでしょう。先週の木曜日に第3四半期の決算報告を行ったフェデックスは、経済の先駆けとして見られることが多いのですが、予想を下回ったことから、金曜日に株価が急落し、米経済の減速の兆しになり得ます。

フェデックスの株価下落は、米株式市場に影響した可能性があり、先週の金曜日にS&P500は2セッション連続で最高値更新で取引を終えることはできませんでした。

ユーロ圏のPMI指数低下も本日のセンチメントの重荷となりましたが、投資家らが中国政府による利下げ加速の見通しとさらなる刺激策への期待から、ムードは急速に好転しているようです。中国人民銀行は本日、14日物リバースレポ金利を0.10%引き下げただけでなく、明日にも経済支援に関する記者会見を行うと発表し、市場を驚かせました。

一方でゴールドは、ドル高に屈する前に、本日1オンス2,600ドルを超えて新たな高値を更新して一日をスタートさせました。