デイリーコメントー来週のFRBによる0.50%利下げ観測復活で米ドル下落、ゴールド急騰

投稿日: 2024年9月13日18時39分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・低調な米PPI指数と来週会合でのFRBが利下げ幅検討との報道で0.50%の利下げ観測復活
・米国債利回り低下で米ドル下落、ゴールドは新最高値更新
・ECBは昨日追加利下げ発表も10月での利下げ示唆せず、ユーロ上昇

大きく揺れ動くFRBの利下げ予想

FRBが9月に0.50%の利下げを実施するという予想は、投資家の間で見込みのないものとなっていました。しかし、米国の生産者物価(PPI)指数が予想よりも軟調な結果となり、FRB当局者が来週の利下げ幅について議論しているとの報道が、市場の大幅利下げに対する期待を再燃させています。

昨日発表された8月の生産者物価指数が、米国の物価上昇圧力が実際に緩和されていることを投資家に示すものであったため、0.50%利下げが実施されるとの当初の見立てが再び高まり始めました。米国のインフレとより広範な経済見通しに対する疑念は、最近の強弱まちまちの米国非農業部門雇用者数と米国消費者物価(CPI)指数の報告によって生じました。

しかし、これはフィナンシャル・タイムズ紙とウォール・ストリート・ジャーナル紙の両紙が米国取引セッション後半に、FRBが0.25%か0.50%の利下げかのジレンマに直面しているとの記事を掲載して初めて、投資家が来週に決定する利下げ予想への見直しを行うこととなりました。

ゴールド上昇、米ドル下落

FRBによる0.50%の大幅利下げの確率は、本日40%以上まで押し上げられ、米ドルにとっては打撃となりましたが、米株式市場とゴールドにとっては好材料となりました。債券市場の動きにはそれほど変動はなく、米国債利回りは既に1年以上ぶりの低水準まで低下しており、米ドルは強い売り圧力に晒されました。

今週の日銀審議委員によるタカ派発言により、今週の日本円は上昇しており、本日の米ドルは日本円に対して、12月以来の安値である140円41銭まで下落しました。

一方昨日のゴールドは1.9%上昇し、本日も新最高値である1オンス2,570ドルを超えて上昇幅を拡大しています。

世界の主要中央銀行によるハト派への政策転換が順調に進行しています。昨日、ECBは今年で2回目となる0.25%の利下げを決定し、FRBも来週の水曜日のFOMC会合にて同様に利下げを発表すると予想されています。イングランド銀行は、来週の会合での利下げはしないと見られており、日銀も来週の会合ではおそらく現状維持となる見通しですが、日銀だけは利上げサイクルを進行している唯一の主要中央銀行となります。

ECBは10月での連続利下げ示唆せず、ユーロ上昇

ECBによる追加利下げ決定によって、欧州の株式市場の上昇となりましたが、ラガルド総裁が会合決定後の記者会見にて、今後の利下げのペースについて言及しなかったことから、投資家らの期待外れとなり、ユーロにはそれほど影響はありませんでした。ユーロ圏の経済が軟化しており、総合インフレ率が2%に近づいていることから、ラガルド総裁が10月での連続利下げを示唆するのではとの期待が市場には広がっていました。

ECBが10月に連続利下げをする可能性はあるものの、現時点での確率は非常に低く、昨日のユーロは米ドルに対して、1. 11ドルを目前に小幅上昇して週を終えそうです。しかし、本日は9月のインフレ期待が注目されるミシガン大学消費者信頼感指数の発表があり、米ドルにとってはさらに試練となるかもしれません。

今週の株価とゴールド、原油価格は上昇基調

米株式市場では、ハイテク株の回復とFRBによる大幅利下げ観測の復活を背景に、今週のナスダックは力強い上昇で終わりそうですが、本日はいくらか後退する可能性があります。

コモディティでは、ゴールドだけでなく、原油先物も国際エネルギー機関(IEA)とOPECが今年と来年にかけて石油需要の軟化を予想しているにもかかわらず、ここ数回のセッションでまた堅調な回復を見せています。また、ハリケーン・フランシーンの進路により、メキシコ湾での供給が閉鎖され、原油価格にとっては短期的に上昇しています。