デイリーコメントー株式市場は回復も本日の米大統領候補者討論会でのリスクも

投稿日: 2024年9月10日18時10分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・株式市場は黒字もセンチメントは不安定
・本日の米大統領候補者討論会は市場に影響するか
・堅調な英労働市場でポンド上昇
・リスクセンチメント改善でビットコイン上昇、ゴールドはレンジ相場

息を吹き返した米国株式市場

昨日の米国株式市場は、ナスダック100を中心に上昇しました。多くの市場参加者が来週のFRBによる利下げ幅に不透明感を残し、世界経済の中期的な見通しに困惑しているにもかかわらず、ユーロは米ドルに対して1.1030近くまで下落しました。中国の経済指標が引き続き期待外れとなり、全体的なセンチメントは脆弱なままです。

市場はすでに水曜日の米消費者物価指数(CPI)の発表を意識しているため、本日の経済指標への注目はかなり低くなっています。米国の労働市場がFRBの利下げプロセスの重要な役割を持つ一方で、インフレ統計が来週の利下げ幅を決定する役割を果たす可能性もあるでしょう。8月の原油価格を背景に大幅な下振れサプライズが発生すれば、緩和サイクルを0.5%で開始しなければならないというFRBへの圧力が多少強まる可能性があります。

大半のエコノミストは9月18日に0.25%の利下げ予想を確信しているようですが、明日発表の米消費者物価指数(CPI)が予想と大きく異なれば、FRBの利下げ観測に影響する可能性もあります。特に消費者物価指数(CPI)が上振れした場合、パウエルFRB議長が米国経済の低迷を言及するのは難しいでしょう。

本日の米大統領候補者討論会に注目

本日の焦点はまた、米大統領候補者のトランプ氏とハリス氏による初のテレビ討論会となります。このテレビ討論会の重要性は、6月下旬のトランプ氏に対する討論会でのバイデン大統領による精彩を欠くパフォーマンスから、結局は大統領選を退くことになったため、過小評価できません。

ハリス氏は世論調査でリードしており、今夜の討論会が上手くいくと、11月での勝利を確固とする大きな一歩となり得ます。しかし、トランプ氏による攻撃的なスタイルを考慮すると、特にトランプ氏が個人攻撃を行う場合、ハリス氏の能力が試されることになりそうです。

経済面では、両氏ともに これまでの姿勢から大きく逸脱する可能性は低いでしょう。トランプ氏はハリス氏よりもビジネス寄りであると自己評価しています。両氏ともに大きなミスを犯したり、討論中に冷静さを失わないなどを前提として、大きなサプライズがない限り、市場は大きく影響を受けることはないでしょう。しかし、本日の討論会にて、明らかに議論の余地のない勝利者を生み出すような場合は、リスク資産に反映される可能性があります。

英労働市場は引き続き逼迫

本日のイギリスでの雇用統計が堅調となったことから、ポンドがユーロと米ドルに対して小幅上昇しました。特に、失業率が4.1%まで低下し、ボーナスを除いた平均所得の伸びが約5%辺りと、現在のインフレ率を上回って堅調に推移し、8月の失業保険申請件数は2万3700件増となりました。

堅調な最新の英PMI企業調査と住宅セクターとともに、イギリスの経済は予想以上に好調なようです。市場はイングランド銀行による来週の会合での0.25%の追加利下げの確率を27%と織り込んでおり、明日の英GDP数値はじめ一連の経済データがこの好調な経済を裏付ける可能性があります。

ビットコインは株式市場とともに上昇、ゴールドは2,500ドル台を維持

仮想通貨市場は、ビットコインが先週の金曜日の安値より約10%上昇し、56,800ドル付近で落ち着いており、引き続き高いボラティリティとなっています。仮想通貨関係者はビットコインをゴールドの代替品として提示しようと努力しているにもかかわらず、米株式市場との相関性は依然として高いままです。

一方ゴールドは、中国人民銀行が4か月連続でゴールドを購入しなかったとの報道にもかかわらず、比較的ダメージを受けずに済んだようです。中国政府がゴールドを購入していないことに関して様々な憶測が飛び交っていますが、ゴールドは引き続き2,500ドルの領域で推移しており、最近の上昇を維持しています。