デイリーコメントー本日の米雇用統計に注目

投稿日: 2024年9月6日18時19分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米経済データで米労働市場への懸念払拭できず、米ドル下落
・非農業部門雇用者数は小幅上昇予想も、今週の経済データから下振れの可能性も
・S&P500とダウ・ジョーンズは本日の雇用統計を前に赤字
・ゴールドは回復で最高値に近づく、原油価格は安定

米経済データでは投資家の不安は解消されず

木曜日の米ドルは、予想を下回る新規失業保険申請件数とISM非製造業購買担当者景気指数の改善によるムード上昇が後退したことから、全ての主要通貨に対して下落しました。

トレーダーが米ドル買いに乗り気でなかったのは、前述のデータを前に、ADP雇用統計が軟調な結果となったことに加え、ISM非製造業購買担当者景気指数の雇用指数が低下したためかもしれません。

米国の労働市場に対する懸念から、FRBが次回のFOMC会合で0.5%のダブル利下げを実施する確率は、45%程度に上昇しました。年末までに予測される利下げ幅の合計も1.12%に増加しました。

本日の米雇用統計が米ドルの試金石

投資家らは現在、本日の政府による8月の雇用統計に警戒感を高めています。非農業部門雇用者数は11万4千件から16万4千件に増加、失業率も4.3%から4.2%に小幅減速したと予想されています。このような改善が見られる場合、トレーダーが次回のFOMC会合での0.25%の利下げが現実的であると認識し、米ドルは上昇し、米国債利回りが回復する可能性があります。

そうは言っても、昨日のADPによる雇用統計から、8月の民間部門での雇用者数が9万9千件増加となり、本日の非農業部門民間雇用者数でも13万9千件の増加が予想されています。今週のISMによる製造業、非製造業企業調査での雇用指数が比較的軟調であったことも含めて、本日の雇用統計が下振れとなる可能性があります。

本日の雇用統計を控え、リスク選好度後退

米株式市場では、S&P500とダウ・ジョーンズがまた赤字となり、ナスダックは始値から0.25%上昇して取引を終えました。FRBによる利下げ観測が高まる中、株式市場が下落しているという事実は、投資家らが米経済の景気後退を懸念していることが示唆されています。

つまり、投資家らによる米経済への懸念から借入コストの低下の見通しに歓喜していられないため、ここ最近、悪い経済データは実際に株式市場にとっても悪いデータとなっています。したがって、本日の雇用統計が予想を下回る場合、株価、そして他のリスク関連資産にとっても、さらなる圧力となるかもしれません。

ゴールド回復、原油価格の下落は一段落

ドル安によって、ゴールドは回復し、8月20日に更新した最高値2,532ドルに近づいて上昇しています。FRBによる大幅利下げ観測で、利回りが生じないゴールドが恩恵を受けており、本日の雇用統計によって、米労働市場のさらなる鈍化が確認される場合、ゴールドはこれまでの最高値を突破して、未知の領域まで上昇するかもしれません。

今週火曜日と水曜日に急落した原油価格は、おそらくドル安と、またリビアが石油輸出と生産削減となった東西勢力の対立が合意に達したことで、生産量増加の可能性となり、OPECプラスが増産の協議を延期するとの報道から、昨日安定しました。

カナダ銀行が今週水曜日の政策会合にて、3会合連続で利下げを発表したにもかかわらず、資源国通貨であるカナダドルは比較的安定しています。そうは言っても、市場は10月の次回会合でも4会合連続となる利下げを予想しており、本日の米雇用統計と同時に発表されるカナダでの雇用統計によって、カナダドルは特に米ドルに対してボラティリティが高まる可能性があります。