デイリーコメントー今週の米経済データに焦点で株式市場は下落基調

投稿日: 2024年9月5日18時06分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・本日も主要な米経済データに焦点で株式市場は下落基調
・本日のADP雇用レポート、失業保険申請件数とISMサービス業PMIが市場に影響か
・米ドルは強弱まちまち、円高進行
・OPECプラスによる増産報道で原油価格は上昇ならず

注目の米経済データ発表

水曜日に発表されたJOLTS求人件数のような予想を下回ったことから、世界中のほとんどの株価指数は赤字のセッションとなり、株式市場は予想以上の脆さを見せ続けています。こうした市場の動きは、パウエルFRB議長が9月18日のFOMC会合を前に、米労働市場の動向をより重視すると発言したことによるものです。

ナスダック100株価指数は、エヌビディアの苦境が、熱狂する全てのAI業界に影を落とす中、調整を続けています。興味深いことに、9月という季節も米国株式市場は歴史的にS&P500指数を中心に大きくマイナス傾向となるため、これが最近の弱気圧力がさらに続く可能性があることを示唆しているでしょう。

本日の焦点は引き続き米国経済指標と、主に労働市場に関する指標となりそうです。ADP雇用統計は14万5,000人増が予想され、市場は週間の新規失業保険申請件数とチャレンジャー人員削減数に非常に大きな関心を寄せています。加えて、最新のFRBの経済報告書が概ね前向きな内容であったにもかかわらず、ISM非製造業購買担当者景気指数が米国経済の鈍化予想を裏付ける可能性もあります。

しかし、ISM非製造業購買担当者景気指数の雇用指数は、過去数ヶ月のパフォーマンスに匹敵するような安定を示唆する場合、本日の発表が相場を動かす可能性は高いでしょう。そのため、9月18日の0.5%利下げに対する市場の期待は大きく後退する可能性があります。しかし、肝心なのは金曜日の非農業部門雇用者数です。

興味深いことに、2000年以来ほとんどのFRBの緩和サイクルは、0.5%の利下げから始まっています。これは、FRBが米国の景気回復のために必要なことは何でもすることを示す合図と見なされる可能性があり、今後FRBによる連続利下げもあり得るでしょう。

今週の米ドルは強弱まちまち

これらの市場の動きの中で、今週の米ドルは強弱まちまちとなっています。ユーロとポンドに対して下落していますが、豪ドルやNZドルといったリスク関連通貨に対しては上昇しています。オーストラリア準備銀行のブロック総裁が本日、現時点での利下げの可能性は低いとタカ派発言をし、8月の会合でのメッセージを裏付けしたものの、豪ドルは恩恵を受けることはできませんでした。

一方で、日本円は今週、先週金曜日の8月の東京のインフレレポートに始まり、本日も7月の国内労働統計が力強い伸びを示したことから上昇しています。結果として、現段階では、ドル/円は8月初旬の安値である141円67銭を若干上回っています。

今週の原油価格は市場に大きく影響

原油価格は引き続き下落しており、10月の生産増加への期待と、世界経済の減速、特に中国経済が引き続き期待外れのパフォーマンスであるため、OPECプラスに警戒感が広がっています。

OPECプラスは、12月のウィーンで開催される閣僚会合まで、石油生産の割り当てに関する決定延期を検討しているとの報道があります。原油価格は引き続き圧力を受けており、70ドルの水準は一部の買い手を惹きつける可能性があります。