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・FRBの0.50%利下げ観測後退で、米コアPCE価格指数と個人消費に注目
・今週の米ドルは上昇も今週のナスダックは期待外れ
・ユーロ圏CPI指数速報値は予想を下回り、ECBは9月利下げへ、ユーロ下落
大手ハイテク株の下落が米株式市場の重荷に
米国経済が好調に推移していることを示す証拠が増えたため、米ドルは7月中旬以来となる週足プラスを見込み、月足の下落幅を縮小するとみられています。米株式市場については同様ではありません。ダウ平均株価は週足、月足ともに上昇基調となっていますが、S&P500とナスダックは不安定な動きをみせています。
AIの申し子ともいえるエヌビディア株は、先日の決算発表において市場の非常に高い期待に応えられなかったため、今週9%以上急落し、月足の上昇分を帳消しとしました。Appleなど一部の例外を除く、ほとんどの大手ハイテク株も週足と月足で下落しています。
最新の米経済データは経済の低迷を示唆せず
企業の決算報告による市場の失望感は、弱気トレンド反転への理由というよりは、高額なバリュエーションに対する現実直視の機会だった可能性があります。しかし、株式市場での慎重なムードを浮き彫りにしているのは、FRBの金利経路への不確実性です。
FRBパウエル議長のジャクソンホール会議での講演によって、0.50%の利下げについての可能性も示唆されましたが、経済データはこの大幅利下げをサポートしていないように見えます。つい昨日、第2四半期の米GDP成長率が上方修正され、週次の失業保険申請件数は、米労働市場悪化の兆候を示しませんでした。
投資家らの焦点は、本日のPCE価格指数と個人所得・個人支出に移ります。7月のコアPCEインフレ指標は、前年比で2.7%若干加速したと予想されており、年率3か月ベースでは明るい見通しが示唆されているものの、この傾向が続く限り、9月での利下げ観測は維持されるはずです。
ユーロ下落で米ドルは堅調に推移
本日の米ドルは、9月での0.50%の利下げを裏付けするものとはならないようです。そうは言っても、米ドルの今週の上昇は予想外に下振れとなるリスクとなるかもしれません。
9月での0.50%の利下げの確率は約30%を維持している他は、ユーロ安も今週の米ドル上昇の一因となっています。
8月のユーロ圏のインフレは、速報値によると、前年比で2.6%から2.2%に低下しました。9月のECBによる0.25%の追加利下げはほぼ完全に織り込まれており、本日のユーロ圏のCPI指数によって、ECBメンバーが今後数か月でさらなる緩和を示唆するかもしれません。ユーロは今週、米ドルに対して約1%下落しました。
スイス中銀総裁の発言でスイスフラン下落
日本円も、本日の東京でのインフレが予想を上回ったことにほとんど反応はなく、米ドルに対して今週は小幅下落に向かっています。
一方、スイス国立銀行ジョルダン総裁が昨日、ここ数か月のスイスフラン高が国内産業を「困難に」をもたらしていると発言したことから、スイスフランは圧力を受けました。
ゴールド上昇、石油供給の問題で原油価格は上昇
コモディティでは、ゴールドが最高値を若干下回って上昇しましたが、ドル高から2,530ドル台を突破することはできませんでした。原油先物は、現在の下落軌道内にとどまってはいるものの、今週は上昇して取引を終えそうです。
リビアでの中銀総裁人事を巡る東西勢力の対立による石油生産の停止が続く場合、この状況も変わる可能性があります。供給の混乱に加えて、イラクがOPECでの生産割り当て量を超過したことに続いて、9月の石油減産を計画していると発表しました。