デイリーコメントーエヌビディア決算も株価上昇とならず、今週の米経済指標に注目

投稿日: 2024年8月29日18時46分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・エヌビディア決算は市場の期待外れ、エヌビディア株は時間外取引で下落
・今後の方向性に米経済データが注目となる中、株式市場は強弱まちまち
・NZドル上昇、ドイツとスペインのCPI指数低下でユーロ下落

エヌビディア決算発表による株価上昇はなし

待望のエヌビディアの第2四半期決算は、売上高が前年同期比で2倍以上になりましたが、非常に高い市場の期待値には届かない結果となりました。

売上高と当期純利益ともにコンセンサス予想を上回り、第3四半期の企業予測についても予想を上回りましたが、一部の投資家はさらに高い目標を設定していました。さらに重要なのは、同社の幹部がエヌビディアの次世代AI半導体の生産問題をめぐる懸念を払拭できなかったことでしょう。

エヌビディアの株価は年初来で150%という驚異的な上昇を見せたため、投資家たちは、同社の新AI半導体であるブラックウェルがどれだけの収益を見込んでいるのかという、より詳しい情報を期待していたようです。

他のハイテク大手企業によるAIへの巨額投資について懸念が高まっており、株式市場はすでに神経質になっていました。そして、エヌビディアの決算発表が今後のAI取引に新しい希望をもたらす機会とはならなかったことから、エヌビディア株は時間外取引で8%以上急落しました。

次の焦点は今週の米経済データ

エヌビディア決算報告を控え、米株式市場はハイテク株に慎重な姿勢が広がったため、昨日の3指数全ては下落して取引を終えました。しかし、本日の先物は、ヨーロッパ市場での回復の兆しが見られる中、強弱まちまちとなっています。

株式市場では、7月から8月にかけての急落からの回復が、現在重要な岐路に差し掛かっており、ジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演もエヌビディア決算も、投資家が望んだ次の段階への上昇の起爆剤とはなりませんでした。

今週の経済データによっても、強気トレンドのきっかけとならない場合、今後の市場の方向性について、来週の米雇用統計がますます注目されるでしょう。

そうは言っても、FRBによる利下げのペースについて、依然として憶測が飛び交う中、明日の7月のPCEインフレ率と個人消費支出物価指数を前に、本日の週次失業保険申請件数と第2四半期のGDP成長率の修正予想も注目となるでしょう。

ユーロ圏諸国のCPI指数低下でユーロ下落

明日のユーロ圏全体のCPI指数速報値を前に、ユーロ圏諸国のCPI指数が予想を下回ったことを受けて、本日のユーロは圧力を受けて、1.1100ドルを下回りました。

8月のスペインの総合CPI指数は予想の2.4%を下回り、本日12:00(GMT)に予定されているドイツの全国CPI指数も、地域ごとの指数によって、ドイツ全州でのインフレ低下が示されたため、予想を下回ると予想されています。

8月のCPI指数低下により、ECBによる最新のハト派的見解が裏付けされ、9月での0.25%の利下げだけでなく、来年の大幅利下げにも期待が高まることになります。

米ドル安定もNZドル上昇

対照的に、オーストラリア・ニュージーランド銀行による企業景況感指数が大幅な改善を示したことから、本日のNZドルは8か月ぶりの高値である0.63ドル台を若干下回る水準まで急騰しています。楽観的な見方の一部は豪ドルにまで波及しているようで、オーストラリアでの第2四半期の設備投資が予想外に縮小し、来週の豪GDPにとっては良い兆候ではないにもかかわらず、豪ドルも上昇しています。

米10年債利回りが3.80%辺りで安定していることから、米ドルはプラスの勢いとなっています。一方で昨日、アトランタ連銀ボスティック総裁は、9月の利下げを支持するには、さらなる経済データを見てみたいと言及しました。