デイリーコメントー本日のエヌビディア決算と今週の重要な経済指標を前に市場は慎重ムード

投稿日: 2024年8月28日18時11分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米失業保険申請件数とコアPCE指数を前に米ドル下落は一段落
・円は後退気味も日銀副総裁の発言で上昇示唆か
・米株式市場は本日のエヌビディア決算待ち、原油価格は需要への懸念で後退

米ドル相場の行方は今後の重要なデータ次第

特に特筆すべきデータや衝撃的なニュースがない中、投資家は引き続きジャクソンホール会議でのFRBパウエル議長のハト派的発言の影響を受け、水曜日の米ドルはすべての主要通貨に対して下落幅を拡大しました。

しかし本日、ドル円は回復基調にあります。これはおそらく、明日と金曜日に控える重要データ発表を前に、空売り筋がポジションを清算しているためでしょう。金曜日には、FRBが注視するインフレ指標であるコアPCE価格指数が発表されますが、パウエル議長が労働市場の重要性を強調したことを念頭に置くと、明日の新規失業保険申請件数はいつも以上に注目を集めるかもしれません。

パウエル議長の発言を受けて、より多くの市場参加者がFRBが9月に0.5%の利下げを実施する可能性を織り込んでおり、その確率は現在約35%となり、12月までの合計利下げ幅は約1.03%と予想されています。

したがって、労働市場のさらなる冷え込みやインフレの軟化を示唆するデータが出れば、投資家は金利予想経路を下方修正する可能性があり、これにより、米国債利回りと米ドルにさらなる圧力がかかるでしょう。

円キャリートレードは縮小か

ドル安から最も恩恵を受けている通貨は、リスク関連通貨である豪ドル、NZドル、カナダドル、そしてポンドとなっています。ポンドはまた、イギリスの財政収支と経常収支の双子の赤字により、リスク資産として機能しています。イングランド銀行ベイリー総裁による、追加利下げを急ぐ必要はないとのメッセージもポンド上昇の一因となっています。

しかし、日本円はリスクオンでもかつてのように下落しませんでした。昨日の日本円は何とか上昇し、投資家が過密状態だったキャリートレードでの投資に引き続き積極的ではないことが示されました。

本日の日本円は後退していますが、日銀メンバーのタカ派発言によって、大規模な売りを促す可能性は低いでしょう。先週金曜日の植田総裁の発言に続いて、氷見野副総裁は本日、国内のインフレが順調に推移する場合、引き続き利上げを実施していくだろうと述べました。この発言によって、市場は年内に日銀がさらに0.10%の利上げを行う確率を72%に織り込んでいます。

株式市場は本日のエヌビディアの決算報告に注目

昨日の米株式市場3指数は、景気後退への懸念が後退し、今後数か月内の利下げへの期待が株式トレーダーに歓迎されたことで、全て黒字で取引を終えました。

しかし、本日の閉場後にエヌビディアによる決算報告があることから、この上昇も慎重となりました。AI市場を征服するための競合他社による巨額投資への懸念を受けて、エヌビディアの業績には通常よりも注目となるかもしれません。

実際、オプションの価格設定では、エヌビディアの決算発表後の動きを通常よりも大きく予想していることが示唆されており、エヌビディアが今年のS&P500の上昇分の3分の1以上を占めたことからも、市場全体がボラティリティの増加となることを示唆しています。

石油消費の伸びへの懸念で原油価格下落

原油価格は、リビアからの供給不足の可能性や中東での緊張の悪化への懸念により、最近大幅に反発しました。そうは言っても、経済データにより、今年の世界の石油消費の伸びが、以前の予測を下回っていることが明らかとなり、製油所の利益率の低下への懸念から、3日連続の上昇は昨日一段落しました。

しかし、イスラエルとハマスの間での進行中の紛争と、リビアでの政治紛争によって日量100万バレル以上の石油生産停止のリスクの中、この原油価格の下落は限定的で短命に終わる可能性が高いことが示唆されています。