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パウエル議長、利下げを示唆
パウエルFRB議長は金曜日、ジャクソンホール会議での講演で、FRBによる待望の利下げサイクルへの踏み切ることを示唆し、9月の利下げを確定させました。パウエル議長は、予想よりもややハト派的な表現を使って「政策を調整する時期が来た」と述べ、利下げのタイミングとペースについては「今後入手するデータ次第」と付け加えました。
これだけでは、市場が期待している0.5%の利下げの可能性を示唆する材料にはなりませんが、パウエル議長が労働市場への支援とさらなる冷え込みを防ぐ必要性を強調したのは紛れもない事実でした。
株式市場は低迷
パウエル議長の発言を受けて米株価は急騰しましたが、暴騰には至らず、主要株価は1%強上昇して引けました。小型株は例外で、米国債利回りが低迷する中、ラッセル2000は3.2%上昇しました。
本日、アジア株と欧州株は様々なスタートとなり、米国先物はわずかな上昇にとどまっています。株式市場は「噂で買って事実で売る」(リアルインテリジェンスの相場の格言)という状況になっており、パウエル議長はFRBの焦点をインフレから労働市場に移したことは明らかですが、目先の利下げ期待を大きく変えるような発言はほとんどありませんでした。
エヌペディアの決算発表に注目が集まる中、小型株が上昇
総じて、投資家が今後12か月内に0.25%の2回の利下げを織り込んでいる為、市場予想は依然としてハト派寄りに偏っているリスクがあります。FRBが実際に舵を切ったことにより、今まで低調気味だった小型株を押し上げることになりました。
しかしながら、過度のエバリュエーションへの懸念により大型株が打撃を受け続ける可能性もあり、今後の株価の動きは水曜日に発表されるエヌペディアの決算結果次第となるでしょう。エヌペディアの決算結果がパニックを引き起こさなかった場合、今後の金融政策の見通しが一段と明らかになる9月のFOMC政策会合まで株高が継続する可能性があります。
ポンドとユーロは主要レベル達成
ジャクソンホール会議では、イングランド銀行のベイリー総裁も講演を行い、他の中央銀行総裁よりも慎重姿勢を示しました。しかしながら、ベイリー総裁はパウエル議長と同様にインフレの上振れリスクの後退を指摘しました。
ベイリー総裁のハト派寄り姿勢にもかかわらず、先週金曜日のポンドは最も上昇した通貨となり、対米ドルで1.32ドル越えを達成し、2022年3月依頼の高値を更新しました。ユーロも対米ドル最高値を更新し、1.12ドル台越えを達成しました。
ドル/円は144円台を割り込み、米ドルインデックスは13か月ぶり低水準となりました。
7月中旬以来の米ドル安の流れは、パウエル議長の発言により一段と加速したようです。しかしながら、金曜日に発表されるPCEデフレーターが予想外に好調な結果となった場合、米ドルは短期的な回復の余地があるでしょう。ECBの9月政策会合の実施が近づく中、金曜日のユーロ圏8月消費者物価指数も重要になります。
原油とゴールド上昇
米ドル安の恩恵を受けたもう一つの銘柄はゴールドでした。本日のゴールド価格は先週に記録した最高値2,531.60ドルに接近し、最高値更新間近となっています。
主にイスラエルとヒズボラの攻撃による中東情勢の緊迫化によって、原油価格も上昇しました。和平が一段と後退する中、ガザの停戦協議は合意に至らないまま日曜日に終了しました。