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・米失業保険申請件数増加も米ドル回復
・本日のジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演に向けて市場は準備態勢
・日銀植田総裁は国会証言で追加利上げ示唆、日本円は回復
・ハイテク株が重荷となり米株式市場下落、ゴールドは後退
パウエル議長の講演を控え、利下げ観測は再調整
昨日の米ドルは、ポンドを除いた全ての主要通貨に対して上昇しました。
この米ドル回復に明確な要因はありませんが、昨日発表された先週の失業保険申請件数が増加していたにもかかわらず、投資家はFRBのパウエル議長の講演を前に、ショートポジションを清算し始めたのかもしれません。
9月に0.5%の利下げを実施することを裏付けるような展開がない中、本日のジャクソンホール会議において、パウエル議長からの9月の会合での積極的な利下げへの発言が予想されないため、市場参加者はより現実的なアプローチを取ったのかもしれません。
とはいえ、9月の0.5%利下げの可能性がゼロになったわけではなく、25%となっただけであり、年内での合計利下げ幅は現在0.97%と予想されています。
つまり、パウエル議長が予想よりハト派的とはならない場合、9月の利下げの可能性はあるとの見解を繰り返したとしても、更なる上振れ調整の余地があるということです。結局のところ、FRBメンバーの何人かは昨日すでに9月利下げを支持する意見を述べましたが、それでも米ドルは上昇しました。水曜日のFOMCの議事録で、一部のFRBメンバーが7月の利下げを支持していたことが明らかになったため、9月の利下げに関しては、もはやサプライズではなくなったようです。
ポンド上昇、日銀総裁の国会証言で円は回復へ
昨日のポンドが米ドルに対して唯一上昇した通貨となったのは、8月の英PMI速報値が予想を上回ったためかもしれません。しかし市場は、9月19日のイングランド銀行の次回会合にて、連続利下げの確率を27%辺りに織り込んでいます。
日本円は昨日円安となりましたが、本日の日銀植田総裁による国会での証言により回復しました。植田総裁は、金融市場が引き続き不安定であることに警告を発しましたが、国内インフレが日銀の目標に向けて推移する場合は、追加利上げを実施していくことを再度強調しました。
日本円は、超低金利から高利回りの資産投資に利用されており、以前は過密状態となっていたキャリートレードをもう一度利用しようとしていた投資家らにとっては、この発言は落胆する内容となったかもしれません。
株価とゴールドは下落、本日のパウエル議長の講演に注目
昨日の米株式市場は赤字で取引を終え、S&P500はローソク足チャート上で、陰の包み線パターンを示しています。このテクニカル分析が本日の取引で確認される場合、来週の株式市場は慎重なムードとなるかもしれません。
昨日の株式市場の下落は、おそらく市場のFRB金利予想経路の再調整を要因とするハイテク株の下落に牽引されました。本日のパウエル議長の講演が、予想よりもハト派とはならない場合、株式市場は本日も赤字となり、短期的な反転の確認となるかもしれません。
ゴールドも昨日は米ドルの回復と米国債利回りの上昇から下落しました。ゴールドは1%以上下落し、本日のパウエル議長の講演によっては続落する可能性がありますが、長期的な観点からいうと、ゴールドは引き続き上昇基調となっています。