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・ドル安は為替市場全体に広がる
・本日のFOMC会合議事録でユーロ/ドルの上昇は一段落となるか
・市場はジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演に備える
・原油価格は引き続き圧力
継続する米ドルの不調
ユーロは米ドル安の恩恵を継続し、2023年12月以来の高水準で取引されています。ユーロ/米ドルは、ここ最近ではなかなか抜けることがなかった1.1032-1.1095の重要なレジスタンスゾーンを急速に突破し、次のポイントは1.1184が妥当なターゲットとなるでしょう。
現在のユーロ/米ドルの上昇には、為替ポジションが重要な役割を果たしているようで、両地域間の経済的乖離が続いていることを考慮すると、想定される動きのようにみえます。明日のPMI調査でもこの乖離が確認される見込みで、ユーロ高に水を差す可能性もあります。
同様に、本日中に発表される予定の7月31日FOMC議事録も、ユーロ高の促進を阻止する可能性があります。通常、FOMC議事録が市場を動かすことはありませんが、前回の会合でFRBメンバーの利下げ意欲が低く、7月31日のパウエル議長の中立的なメッセージが確認されれば、今回は市場を動かす可能性があるでしょう。
ポンドは米ドルに対して1年ぶりの高値に上昇し、米ドル/円は144.99水準で設定されたサポートゾーンに再び近づくなど、ドル安が為替市場に大きな影響を与えています。最新の世論調査によると、エコノミストの大半は日銀による追加利上げを予想しており、年末までに政策金利は0.5%まで上昇すると予想しています。それとは対照的に、最近のロイターの世論調査では、FRBは2024年に少なくとも3回の利下げを実施すると指摘しています。
ジャクソンホール会議に注目
しかし今週の重要な経済イベントは、引き続きFRBによるジャクソンホール会議となります。市場は金曜日のパウエル議長による講演と、今年FOMC会合で投票権を持ち、タカ派として知られるボウマン理事による講演に向けて準備を進めており、ボウマン理事が、パウエル議長へのハト派的見解の期待に水を差す可能性があります。
市場は、パウエル議長が9月での利下げを発表し、その結果株式市場が再び上昇し、米ドル下落となるとのシナリオや、パウエル議長が米経済の堅調さとインフレの粘着性を強調して、タカ派に徹して9月での利下げ観測が後退するシナリオなど、さまざまな可能性に直面しています。パウエル議長がタカ派となる場合、株式市場のリスクオフ反応を引き起こし、米ドルが上昇する可能性が高いでしょう。
原油価格は続落
WTI原油先物は引き続き下落しており、現在今年の最安値である72. 10ドルを若干上回って取引されています。中国経済の長引く低迷は、サウジアラビアの中国への原油輸出の小幅削減にも見られるように、原油需要の低下となっており、米国の景気後退への懸念とともに、さらに重要なことに、OPECプラスによる自主的減産維持が困難していることから、需要と供給が合っておらず、現在の弱気トレンドに拍車をかけています。
地政学的リスクは、ハマス最高指導者の暗殺に対するイランの報復が原油取引経路には影響がないと市場は判断しているようで、現段階では原油価格にはあまり影響と与えていません。また、ハマスとイスラエルの間での停戦交渉が成立する場合、紛争拡大への長引く懸念が緩和され、原油価格上昇を引き起す可能性のある主要な理由の一つがほぼ払拭されることになります。