マーケットコメントージャクソンホール会議を前に米ドルに圧力

投稿日: 2024年8月20日17時57分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・ジャクソンホール会議まで様子見の中、株価上昇
・米景気後退の懸念解消も、エコノミストらはFRBによる年内大幅利下げを予想
・米ドルは多くの主要通貨に対して引き続き下落基調
・豪中銀の政策会合議事録はタカ派、カナダドルは本日のCPI指数で下落か

株価は依然上昇傾向

金曜日のジャクソンホール会議でのFRBパウエル議長の講演控え、株価は上昇を続けています。ハト派的な発言への期待が高まり、ナスダック100が再び上昇を牽引し、最近の相場下落の原因となった米国景気後退懸念が弱まったことで、株価は好調を維持しています。興味深いことに、S&P500は8セッション連続でプラスを記録しています。この一連の現象は、2023年11月以来初めてとなり、7月中旬に最高値を更新するまで30%もの上昇となりました。

株価が回復しているにもかかわらず、市場もエコノミストもFRBに対するハト派的な見解を維持しています。これは、CPI指数が最近のディスインフレ傾向に歯止めをかけるとの予想も一因となっています。ロイターの世論調査によると、アナリストの55%が今年合計で0.75%の利下げを予想し、34%のアナリストは2024年に0.25%の利下げを2回実施と予想し、11%のアナリストが今後3回のFRB会合で、合計1.0%以上の利下げを予想しています。

FRB議長がタカ派となる場合は市場の混乱も

米経済の状況を鑑みると、これらの予想はかなり大胆と言えますが、ジャクソンホール会議にて、パウエル議長がハト派となるだろうとのアナリストの予想通りとなる可能性があります。このハト派への転換は、現在市場に織り込まれているため、パウエル議長がバランスの取れた見解を示し、ハト派とはならない場合、市場に急激な反応が示される可能性が高まります。

ここ最近、久しぶりにFRBメンバーの発言が続いており、パウエル議長の立場を難しくして、その結果議長がよりハト派となるように仕向けているようです。金曜日に、このFRBメンバーによる取り組みが吉となるか判明しますが、パウエル議長は、9月のFOMC会合に向けて、より多くのメンバーの支持を得ることを心がけており、6月会合後にECBのラガルド総裁が直面したような問題を避けたいと考えていることでしょう。

米ドルはほとんどの主要通貨に対して下落基調

米ドルは多くの主要通貨に対しての最近の損失分を取り戻せないでいます。ポンド/ドルは、1.3000ドル辺りまで上昇しており、今年の最高値である1.3044ドルに近づいています。ユーロ/ドルも現在、主要なゾーンである1.1032ドルから1.1095ドル内で推移しています。ユーロ強気派は、今年何度もこのゾーンを突破して上昇できずにいますが、金曜日のパウエル議長の講演によっては、ユーロ/ドルもさらに上昇する可能性があります。

豪ドルとNZドルは、引き続き米ドルに対して上昇しており、両通貨ともに8月に約2.7%上昇しました。特に、2週間前にはオーストラリア準備銀行は利上げを検討していたとも言われる中、8月6日の金利政策会合の議事録にて、現段階では豪中銀は利下げにそれほど積極的ではないことが確認されたことから、豪ドルの上昇が続く可能性もあります。

同様に、カナダ銀行がこれまでに合計で0.50%の利下げを実施し、今後もインフレの緩和が続く場合、追加利下げを示唆しているにもかかわらず、米ドル/カナダドルは今月小幅下落しています。本日は、7月のカナダの重要なCPI指数の発表があり、注目となるでしょう。

エコノミストらは、本日のカナダの総合CPI指数が前年比で2.5%に減速するとし、これは2021年4月以来の減速ペースとなり、CPI指数のトリム値でも3年ぶりの低水準まで減速すると予想しています。この予想通りとなる場合、カナダ銀行のハト派姿勢が正当化され、次回9月4日の政策会合にて追加利下げ予想が確実視されるでしょう。