マーケットコメントー期待外れの米CPI指数後、本日の米小売売上高に注目

投稿日: 2024年8月15日18時36分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・7月の米インフレはさらに減速も市場の反応は鈍いまま
・米株式市場は小幅上昇、米ドルは変動
・日本円とポンドは堅調なGDP数値から上昇基調

米CPI指数により、0.5%の利下げ観測は後退

昨日の米CPI指数は投資家の期待外れとなったことを受けて、リスク選好の着実な回復は続いています。コアCPIは前年比3.2%に低下したのに加え、7月の総合CPI指数も横ばいの3.0%との予想とは異なり、前年比2.9%に低下しました。

米CPI指数の内訳には、住宅部門でのインフレの継続的な高止まりを除けば、赤信号を灯すような要素はありませんでしたが、投資家はおそらく大幅に低下することを期待していたようです。

米国の景気後退に対する市場の混乱は、いくつかの好調なデータを受けて落ち着きを取り戻しています。米CPI指数は、政策決定者たちが集まるジャクソンホール会議(各国の中央銀行総裁らが集まる年次経済シンポジウム)があるため、来週はFRBによる主要なハト派的な方向転換へを期待するトレーダーにとってますます期待する結果となりました。

現実には、景気後退を懸念して金融市場が混乱する前の状況に戻っています。9月に0.5%の利下げが実施されるとの見込みは、パニック絶頂期には完全に織り込み済みでしたが、現在の予想は40%以下となっています。

来週のジャクソンホール会議前に本日の米小売売上高に注目

昨日の米CPI指数が市場の「期待外れ」となったことで、本日の焦点は米小売売上高に移ります。本日の米小売売上高が大きく下振れする場合は、景気後退への懸念が再浮上する可能性がありますが、予想外に上振れとなる場合、FRBに対する大幅利下げへの期待が後退することになるでしょう。

本日は週次失業保険申請件数もまた重要となりますが、大きな視点から言うと、8月22日より3日間の予定で始まるジャクソンホール会議でのパウエル議長の基調講演まで、市場は様子見となる可能性が高いでしょう。

米株式市場はさらに回復へ

米株式市場では、ダウ・ジョーンズが最も上昇し、ナスダックはグーグルの親会社であるアルファベットの株価急落で圧力がかかり、かろうじて黒字で取引を終えました。米司法省は、グーグル検索がオンラインの広告や検索を独占していることへの懸念から、アルファベット社の企業分解を検討しています。

しかしながら、ナスダックとその他世界の株価指数が、かなり堅調な日英中の経済データに支えられて回復幅を拡大していることから、本日のe-mini先物は上昇を示しています。

日本円、ポンド、豪ドルは堅調な経済データから上昇基調

日本経済は第2四半期に予想以上に0.8%の拡大を示し、3四半期続いた停滞に終止符を打ち、年内に日銀がさらに利上げを行う可能性が高まっています。日本円は米ドルに対して小幅上昇しており、先週のレンジ内での横ばいを維持しています。

今四半期の英GDP数値も、予想通り0.6%と顕著な拡大を示し、ポンドも若干上昇しました。英インフレの加速はようやく終息を見せていますが、この経済成長見通しの改善によって、たとえイングランド銀行が年内に追加利下げを行うと予想されていても、ポンドは支えられています。

本日、米ドルに対して上昇している他の通貨は豪ドルです。本日発表となったオーストラリアと中国の経済データは強弱まちまちですが、重要な点はオーストラリアの労働市場が引き続き底堅く推移していることと、中国でも個人消費に安定の兆しが見られることです。

しかし中国では、投資の減速と住宅価格の急落により、中国政府が近いうちに、さらなる刺激策を発表するのではとの期待が高まっており、その結果リスクオンムードが支えられています。