マーケットコメント–日銀の主な意見ではタカ派姿勢が明らかに

投稿日: 2024年8月8日18時38分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 日銀のタカ派姿勢で、円高に歯止め
  • ハト派よりの米利下げ観測継続、市場は翌週の経済指標発表待ち
  • ハイテク銘柄の値下がりで、米株価下落
  • ゴールド回復、しかしながら最高値水準を大きく下回る水準

引き続き注目される円相場

日銀の内田眞一副総裁が追加利上げの可能性を否定したことで、米ドルは円に対して2.5%上昇し、昨日に引き続き円相場は注目されました。

しかしながら、直近の日銀の金融政策決定会合の主な意見で、一部の政策委員が利上げ継続の必要性を訴え、またある1人の委員は「最終的には少なくとも1%まで引き上げるべきだ」と述べたことが明らかになったため、本日は円高傾向には歯止めがかかりました。

これは内田副総裁とは異なる意見があることを明らかにしたため、市場参加者の利上げ観測を後押ししました。年内の新たな0.1%の利上げ確率は、74%から約80%に上昇しました。

大幅にハト派寄りの米利下げ観測

最近の一連の展開により、円は巨額の資金流入を享受しました。キャリートレードの解消、日銀による予想を上回る利上げ、米利下げ観測を上昇させた米景気後退への懸念等の動きが円相場に大きな影響を及ぼしました。

FF金利先物によりますと、年内1.1%の利下げが予想されています。今週の年内利下げ予想は1.25%でしたが、米7月非製造業PMIの好調な結果、及びアトランタ連銀がGDPナウで第3四半期での改善見通しを発表したことを受けて、利下げ幅が若干縮小されました。

翌週に発表される米7月消費者物価指数、及び米7月小売売上高も、今後の利下げ判断の材料になるでしょう。しかしながら、経済指標結果がインフレの一段の鈍化を示した場合でも、利下げ期待が過度にハト派寄りポジションには既に反映されている為、米ドルが大幅に売られる可能性は低いでしょう。したがって、米経済が景気後退寸前ではないという兆候が一段と見られた場合、米ドルの多少の反発余地があるでしょう。

米株価下落、ゴールドは若干回復

昨日の米株式市場は再び下落して引けました。取引後半にハイテク銘柄が下落し、ナスダック指数は約1%値下がりしました。米株式市場は上昇してスタートしたものの、後半に上昇勢いが失速しました。

おそらく、過度の円のショート取引は高利回りの米ドルの恩恵だけではなく、米ドルを株に変えることも目的だったようです。したがって、米株価が再び上昇するには、ドル/円が一段と回復する必要があります。市場での米経済への懸念が緩和されると、利下げ幅の縮小に繋がったとしても、ドル/円が回復する可能性は十分あります。

本日のゴールドは若干上昇しているものの、最高値の水準を大きく下回っています。市場が乱高下する中、ゴールドが上昇しなかった為、ゴールドが資産逃避先ではなかったことが明らかになりました。米雇用統計の脆弱な結果にもかかわらず、ゴールドは米ドル安と国債利回り低下の恩恵を受けることができませんでした。

おそらく、ゴールド相場は再び中国の影響を受けているようです。公表されたデータによりますと、中国人民銀行は先月もゴールドの買い入れ枠を3か月連続で削減しました。更に、上海の金の基準価格が国際価格よりも急速に下落していることから、中国での金の需要低下が浮き彫りになっています。