マーケットコメント–市場のリスクオフが若干緩和、しかしながら継続は不透明

投稿日: 2024年8月6日18時27分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 本日の株式市場は若干ポジティブな流れ
  • 景気後退懸念で米利下げ観測が上昇
  • 本日に重要な経済指標発表がない中、明日のアジアセッションでの経済指標発表に注目
  • 豪中銀はタカ派姿勢を維持し、利上げを検討

米国株式市場は回復基調に

昨日の米国株式市場がやや回復したことで、本日の市場全体のセンチメントは若干前向きになっています。日経平均株価は3日続落した後、好調な勤労統計に助けられ、本稿執筆時点では上昇に転じています。また、ビットコインは昨日の安値を大きく上回って推移しています。

日本の株式市場の積極的な調整と日本のキャリートレードの巻き戻しが、今回の広範な市場パニックを引き起こしているという多くの分析がなされています。これら一連の動きは間違いなく重要な役割を果たしていますが、低調な米ドルを説明するものではありません。通常、市場が動揺する局面において、主に米ドルが安全資産への資金流入の恩恵を受けます。今回はこれに反し、ユーロ圏からのネガティブなニュースが相次いでいるにもかかわらず、ユーロ/ドルは直ちに1.10ドル近くまで急騰しました。

金曜日に発表された米雇用統計の脆弱な結果も、市場が急激に動いた一因とされましたが、FRBのメアリー・デーリー氏は、「労働市場は減速しているが、崖から転落しているわけではない」と発言しました。さらに同氏は、「7月の米雇用統計は、ハリケーンの影響による一時的な解雇を多く反映したものだ」と述べ、明らかに米国の景気後退懸念を払拭しようとしました。

ここ数回のセッションの最終的な成果として、市場は現在、年末までにFRBによる1.1%の利下げを予想しており、9月の5.5%の利下げを予想している著名なエコノミストもいます。2週間前には、FRBが11月の大統領選挙前に利下げに踏み切るかが議論されていたことを考慮すると、おそらく市場は先走りすぎているとみられます。FRBによる積極的な緩和措置は通常、一過性の重大な出来事と関連しています。そのような動きがなければ、米経済指標が今後40日間で劇的に悪化しない限り、FRBによる大胆な金融緩和措置は正当化されないでしょう。

本日は重要な経済指標の発表はなし

現在の市場解釈を消化し、再評価するには、市場は通常、特に需要な経済指標発表等の新たな流れを必要とします。本日、市場全体のおいて、重要な経済指標発表は予定されていません。FRBメンバーの発言も控えていないことも考慮しますと、株価の一段安の可能性が高いでしょう。興味深いことに、ゴールドはボラティリティの上昇を継続し、2400ドル台付近で推移しています。

アジア太平洋地域に再び注目

FRBの引き下げ期待への積極的な再評価にもかかわらず、オーストラリア準備銀行は本日の政策会合において、ハト派寄り方針を求める一部の要求を無視し、インフレの上振れリスクに引く続き警戒することを選択しました。実際に、オーストラリア準備銀行のブロック総裁は、本日の政策会合で利上げも検討され、当面の間は利下げ予定はないことを明らかにしました。したがって、2024年内の利下げ観測は大幅に後退しました。

明日のアジアセッションでは、ニュージーランドと中国から重要な経済指標が発表されます。8月14日には、ニュージーランド準備銀行の政策会合が開催されます。したがって、労働市場関連の指標が脆弱な結果となった場合、ハト派路線への変更の可能性が浮上します。住宅セクターの問題に取り組む中国 政府の動きも、路線変更に影響を及ぼす一因となるでしょう。