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米雇用統計は期待外れ、利下げ観測が急上昇
米7月雇用統計が予想を下回ったことを受け、米国経済への懸念が高まり、FRBは次回の9月の会合で0.5%の利下げを行う必要があるかもしれないとの見方が市場関係者の間で広がりはじめ、先週金曜日に米ドルは急落しました。
失業率は4.1%に据え置かれるとの予想を覆し、4.3%に上昇する一方で、非農業部門雇用者数は11万4,000人増にとどまり、予想の17万5,000人増を下回りました。賃金上昇も予想を下回り、前年比は3.8%から3.6%に低下しました。
9月の0.5%利下げをほぼ完全に織り込んでいることに加えて、投資家は現在、12月までに約1.27%相当の利下げが行われると見ています。背景には、今回の脆弱な米経済指標が所謂「サーム・ルール」(全米失業率の3ヵ月移動平均が過去12ヵ月間の最低値から半ポイント上昇した時点で、景気後退がすでに進行しているという経済論)の発動に繋がったことがあります。
本日、トレーダーは第2四半期に入り景気がどのように推移したかを探るため、7月のISM非製造業PMIに注目するかもしれません。予想では、一目均衡表の50のゾーンより上で反発するとみられており、これは投資家の懸念緩和の材料となり、年内1.27%相当の追加利下げは非現実的なシナリオであろうというメッセージとなるでしょう。
トレーダーがいくつかのベーシス・ポイントの引き下げ予測を解除したことで、米ドルは安堵感に包まれるかもしれませんが、ISM非製造業PMIの統計も期待外れとなれば、米ドルの急落は続くでしょう。
米国債と日国債の利回りの乖離縮小で円高騰
本日、最も上昇した通貨は円でした。円は先週金曜日には約2%上昇し、本日には更に2%高騰しました。一方で、対米ドルでの上昇幅が最も限定的となったのは、リスク通貨でした。
今回の円急騰により、円は安全資産としての地位を取り戻しただけでなく、市場の資産逃避先がゴールド一択ではなかったことが浮き彫りになりました。先週金曜日のゴールドは最高値更新は達成できず、本日には米ドル安の流れを背景に一時的に上昇したものの、その後に反落しています。
7月11日の日銀による為替介入説に加えて、市場のリスクオンムードが後退し始めたことにより、投資家はキャリートレードの手仕舞いに動いたようです。日銀の予想を上回る利上げ幅もキャリートレードの手仕舞いの流れを加速させたようです。
先週金曜日の過度にハト派寄りの市場ムードと今回の市場の流れは、国債利回りの低下に繋がり、米国債と日国債の利回りの乖離が縮小したことも円高の追い風となりました。
米株価急落、ナスダック指数は調整の動き
先週金曜日、米株式市場の主要株価指数が1.5%以上値下がりしました。特にハイテク銘柄中心のナスダック指数は、2.5%以上急落しました。これにより、悪いニュースは実際にも悪いニュースとなる環境に戻り、買い入れコストの減少見通しは、株高には繋がらなくなったことが浮き彫りとなりました。
市場参加者はFRBが利下げ開始時期を遅らせ過ぎたことを懸念しており、この懸念は米国株のVIX指数が1年以上前の水準まで急騰したことからも明らかになっています。
ナスダック指数は7月11日に記録した最高値から11%以上も値下がりし、景気後退での高いバリュエーションへの懸念が上昇する中、株価は調整に入ったことも浮き彫りとなりました。
しかしながら、最近の市場の動きは1つの指標セットの結果であることを考慮しますと、誇張されている可能性があります。したがって、米経済が予想ほど悪化していない最初の兆しが見えると、一部の市場参加者が安値で株式を買い戻す機会として捉えるかもしれません。