マーケットコメントー株式下落もまだ警戒感の高まりなし

投稿日: 2024年7月18日18時14分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・株式は引き続き圧力受けるも、米ドルも下落
・本日はECB政策金利発表もハト派転換とはならずか
・軟調な英経済データもポンドは堅調、引き続き円高進行

2007年を彷彿させる圧力下の株式市場

先週末の銃撃未遂事件により、市場はドナルド・トランプ氏の経済計画により注目していると考えられます。ハイテク製品を含む中国製品への関税引き上げへの思惑が、ナスダックが昨日、2022年12月中旬以来の安値を記録した原因のひとつだといえそうです。興味深いことに、ドル安は穏やかな動きを続けていますが、米国株価指数が下落を続ければ、すぐに反転する可能性があります。

さらに 興味深いことに、現在の状況は2007年9月のFRB利下げ前の状況に似ています。もし歴史が繰り返されるならば、S&P500指数は5,100レベルに向かって修正され、日銀の度重なる介入も入る可能性もあり、ドル/円は148円台まで下落するかもしれません。当然のことながら、米国10年債利回りは最初の利下げ観測が高まる前に低下する傾向があります。7月上旬に始まった利回り低下の動きは、3.70%近辺まで押し下げられる可能性があります。

昨日発表されたFRBのベージュブックでは、ソフトランディングの可能性が高まっていることが明らかになりましたが、今日の米経済指標は比較的軽くなっています。週間失業保険申請件数とフィラデルフィア連銀製造業景況調査はともに、予想外の出来事がない限り軽視される可能性が高いです。さらに興味深いのは、ダラス連銀ローガン総裁とサンフランシスコ連銀デーリー総裁、そしてボウマン理事らの3人のFRBメンバーが後日講演する予定ですが、ボウマン理事のみが2025年のFOMC会合での投票権を持つことになります。彼女はタカ派としても知られているため、ハト派的なシフトはFRB内部のムード変化を確固たるものにする可能性があります。

本日ECBは政策金利発表も現状維持か

本日はECBによる金利政策会合があり、タカ派メンバーとハト派メンバーとの乖離が続く中、予想外に追加利下げを発表する可能性はないと見られています。市場は現在、9月でのECBによる追加利下げの確率を80%と織り込んでいますが、本日ラガルド総裁がこの追加利下げについて何か約束するようなこともないでしょう。そのような動きは、タカ派の怒りを買うだけでなく、おそらく2か月も先のことに言及するのはリスクが高すぎるでしょう。また、9月初旬までには、FRBとしても最初の利下げについての意向を明確にしていると見られ、ECBも戦略が立てやすくなるでしょう。

軟調な英経済データもポンドは堅調

昨日の英CPI指数と、本日の英雇用統計も大幅に下振れとはならなかったことを受けて、イングランド銀行による8月1日の最初の利下げ観測も大幅に後退しました。イギリスでは、平均賃金が高止まりしており、英経済は過去2か月間で予想以上に好調に推移したことが示され、焦点は9月のイングランド銀行による金利政策会合となります。

円高進行、中国では3中総会後 の記者会見予定

日銀がほぼ毎日のように介入しているとの推測が高まる中、日本円は米ドルに対して続伸しています。神田財務官は、「投機による過度な変動があれば、適切に対応していくしかない」と述べ、4月末の介入時と比較して、日本政府が戦略を変更した可能性が示唆されました。この戦略変更が実際に効果があったのかは、時間が経たないとわかりませんが、持続的な円高は、日銀がもっとタカ派姿勢を示し、FRBが利下げサイクルを開始することに左右されることは明らかです。

一方で、中国共産党は3中総会を終え、明日記者会見をする予定です。住宅セクターへのさらなる支援策が発表されるのではとの憶測がありますが、市場は様子見のようです。