マーケットコメントートランプ氏再選観測から米ドルさらに回復

投稿日: 2024年7月16日18時50分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・トランプ氏再選観測高まり米金利上昇、米ドルも続伸
・ダウ・ジョーンズは最高値更新も貿易摩擦への懸念から世界株式市場は下落
・FRB議長はハト派見解でセンチメント向上、本日の米小売売上高に注目

トランプ大統領再選に向けてドルへの期待の高まり

米国債利回りの急騰により、先週の米CPI指数の減速から下落していた米ドルは回復しました。ドナルド・トランプ氏による大統領再選の可能性が高くなったことにより、長期的な利回りが上昇する一方で、FRBが9月に利下げを実施するとの見方が強まり、短期的な利回りは低下しました。

土曜日の暗殺未遂事件後のトランプ大統領の人気上昇を受け、投資家はトランプ大統領再選に向けてポジションを設定する中、火曜日のドル指数は2日続伸しています。

トランプ氏は規制緩和、減税、中国からの輸入品への新たな関税を課すと見られており、後者2つはインフレ圧力の加速となる可能性があります。

しかし、これはインフレに対するより長期的な見方であり、30年の国債利回りが銃撃事件以来最も急上昇した理由になります。しかし短期的には、パウエルFRB議長が月曜に利下げが近いことを示唆したように、金利が低下すると見られています。

パウエル議長はワシントンDCのエコノミック・クラブで講演した際、最近のインフレに関するデータより、インフレが持続的に2%のインフレ目標に到達する方向性に向かっているという「確信を得るのにいくらかプラスになるだろう」と述べました。

好調な決算報告とトランプ氏再選の可能性から米株式市場はラリー

FRBが年内に最低でも2回利下げを行い、また2025年も大幅に利下げを行うのではとの期待が高まり、米株式市場も前向きなセンチメントに包まれています。昨日のダウ・ジョーンズは、エネルギー株と銀行株が上昇したことから、最高値を更新して取引を終えました。

ゴールドマン・サックスによる好調な決算報告が銀行セクター全体を押し上げ、またトランプ氏が再選される場合、化石燃料産業にとってプラスとなるとの期待からエネルギー株が上昇しました。またアップル株も、アナリストが「買い」に推奨したことから、過去最高値を更新して取引を終えました。

トランプ氏が仮想通貨業界に対して心境の変化があったらしいとの憶測の中、11月のトランプ氏大統領選勝利の見通しから、ビットコインは急騰しました。

世界市場はトランプ氏再選に懸念

一方欧州株式指数は、二日連続で赤字となり、ムードはもっと落ち着いており、アジアでの株式指数は強弱まちまちとなりました。トランプ氏が大統領に再選される場合、米中間だけでなく、EUとの間でも貿易摩擦が加速するのではと懸念されています。

昨日トランプ氏は共和党の候補として正式に指名されましたが、市場にとっては、副大統領候補に関心が寄せられています。副大統領候補としてオハイオ州のバンス上院議員が指名されたことで、ウクライナや中国、そしてNATOといった重要課題にさらに強硬な姿勢を取るのではと見られています。

再び円安進行、本日は米小売売上高とカナダCPI指数に注目

為替市場では、林官房長官が「過度の変動」は望ましくないと新たに警告を発したにもかかわらず、円安が158円辺りまで再度進行しています。

本日の焦点は、来週のカナダ銀行の方針を左右するカナダのCPI指数となるでしょう。また、市場は米小売売上高とFRBクーグラー理事による発言にも注目することになるでしょう。