マーケットコメントートランプ氏襲撃による影響を市場は精査中

投稿日: 2024年7月15日17時41分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・週末の事件を受けて米ドルに圧力
・米経済の見通しが厳しくなる中、パウエル議長は本日講演予定
・ビットコインは上昇、ゴールドも2,400ドル台を維持
・中国では本日「3中総会」開幕

トランプ氏への襲撃の影響を市場は消化中

市場は、週末の米大統領候補トランプ氏を巡る出来事を消化しており、本日は静かなスタートとなりました。ペンシルベニア州での共和党の集会でのトランプ氏襲撃は、米国の古い歴史の一部を呼び起こしました。この襲撃による11月の大統領選への影響については、多くの憶測が飛び交っており、一部のアナリストは、トランプ氏が2期目の大統領に選出される可能性が高まったと予想しています。

トランプ氏が再び大統領となる場合、関税を含む貿易において他国と関係が悪化する可能性もあり、その結果インフレ圧力が加速するかもしれません。原則的には、FRBとしては11月の大統領選まで、利下げに関する決定を先延ばしせざるを得なくなる可能性があることを意味します。本日は、パウエル議長とサンフランシスコ連銀デーリー総裁が講演する予定ですが、政治に関する発言をするとは考えにくいでしょう。その代わりに、特に9月での利下げ観測を高める結果となった先週の米CPI指数など、おそらく最近の軟調な米経済データに焦点を当てた内容となるかもしれません。

本日の経済カレンダーはニューヨーク連銀製造業景気指数の発表があり、それほど忙しくはありません。しかし今週は、明日の米小売売上高と水曜日の英CPI指数、そして、木曜日にはECBの金利政策会合と忙しくなりそうです。今週のECBの会合では、ラガルド総裁は今後の方針を約束するような状況を避ける可能性が高いことから、市場への影響は比較的低いと予想されています。ただし、9月での追加利下げは依然として織り込まれており、FRBがその1週間後に利下げに踏み切るのではと見られています。

トランプ氏襲撃後の市場の反応

ユーロ/ドルが金曜日の終値からの差を縮めて本日開場したことで、米ドルに圧力がかかっています。本日は日本の祝日で、アジアセッションは流動性が少ない状況となっています。先週日銀が円をサポートするべく実際に介入を行ったと市場が確信する中、ドル/円は、引き続き158円辺りで取引されています。

昨日のユーロ2024決勝でのイングランドの敗戦と、イングランド銀行のディングラ委員によるハト派的なコメントにもかかわらず、ポンドはユーロに対して上昇しています。ゴールドは、米ドルのパフォーマンスと、イスラエルとハマス間での停戦交渉に注目する中、引き続き2,400ドルを超えて取引されています。注目すべきは、ビットコインが最新の動向から最も恩恵を受けているようで、現在62,000ドルを突破して上昇しており、今月初めの調整を帳消しにしています。

中国経済の低調さ長引く

一方で、中国からの一連の経済データが本日発表となり、重要なことに、今年2四半期目のGDPが年間成長率4.7%と中国政府の目標である5%を下回り、小売売上高も前年比でわずか2%まで低下しました。特に小売売上高の低下は、住宅セクターの低迷によって個人の消費が制限される結果を反映しました。実際に、6月の住宅価格指数は、前年比4.5%の下落を示し、2015年7月以来の大幅な低下となりました。

本日15日から18日まで、中国共産党による第20期中央委員会第3回総会(3中総会)が開催されており、主な議題は需要の低迷に関する状況についてです。住宅セクターの動向も分析される可能性が高く、市場は本会議にて、さらなる支援策が発表されると予想しています。今年5月の住宅セクターを支援する取り組みが、まだ市場に影響を及ぼしていないことを鑑みると、政府の責任としては、早急に対応することであると言えそうです。