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9月利下げに向けて一歩前進
米6月消費者物価指数は、予想外に脆弱な結果となりました。米6月消費者物価指数は、予想を下回る前年比3.0%となり、2020年6月以来初めて前月比でマイナスを記録しました。市場では9月利下げまでに米消費者物価指数が二度発表されることはあまり考慮されず、この脆弱な結果を受けて、市場では9月利下げ観測が一段と上昇しました。
米6月消費者物価指数は、二日間に渡るパウエル議長の議会証言後に発表されました。パウエル議長は利下げ時期の言及は避け、タカ派とハト派のメンバーを満足させる発言に徹しました。しかしながら、月末のFOMC政策会合が近づくにつれて、ハト派メンバーは7月31日にはハト派見解を推し進めるでしょう。
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁、セントルイス連銀のムサレム総裁、及び シカゴ連銀のグルスビー総裁は既に利下げ支持を表明しています。特に、グルスビー総裁は米6月消費者物価指数は目標の2%に向かう素晴らしい結果として評価しました。本日にはFRBメンバーの発言は予定されていないものの、昨日の米6月消費者物価指数の弱い結果を受けて発言するハト派メンバーがいるかもしれません。
ユーロ/ドル上昇
市場では、消費者物価指数が市場を動かすイベントであることが改めて認識されました。ユーロ/ドルは1か月ぶり高値まで急騰したものの、1.0917ドル越えは達成できず、現在は1.0917ドルを大きく下回る水準で推移しています。経済成長鈍化の見通し、及び政治的リスクの浮上にもかかわらず、ユーロは底堅く推移しています。翌週にはECB政策会合が予定されていますが、今月ではなく、9月利下げに動く公算が大きいでしょう。国内の政局不安により、仏国債利回りは低水準で推移しています。
ゴールド上昇、しかしながら米株価は強弱混合の動き
ゴールド価格は 、急騰して5月中旬の高値を試す展開となった後、本日には反落しています。中国政府のゴールド買い一服のニュースにもかかわらず、ゴールド価格は2,400ドル付近で推移しています。最近は地政学要因による影響が後退し、米ドル安がゴールド高の主要因となっているようです。
米6月消費者物価指数の脆弱な結果後の米株式市場は、方向性が定まらない状況となりました。市場は9月利下げを織り込みつつあるものの、昨日のナスダック指数とS&P 500は下落して引けました。特にハイテク銘柄の利益確定売りが株安に繋がったようです。
本日のUSセッションには、米6月卸売物価指数、及び米7月ミシガン大消費者物価指数の発表が予定されていますが、その他の重要な経済指標の発表は控えていません。 市場は昨日の米消費者物価指数の結果を消化している為、本日の経済指標が予想外の結果とならない限り、市場の反応は薄いでしょう。本日には、第2四半期の米企業の決算発表がスタートし、複数の米大手銀行の決算を発表します。
ドル/円下落;為替介入の可能性
昨日の市場動向の恩恵を受けた通貨の一つは、円でした。複数のレポートが日銀の為替介入実施を指摘し、ドル/円は157円に向けて大きく下落しました。日本政府が米消費者物価指数の脆弱な結果を円の小幅回復を画策する機会と見なした可能性があるでしょう。
アジアセッションでは、日本政府の3名の高官が円安牽制の発言を行っていたものの、為替介入の実施は明らかにしませんでした。したがって、市場は通常の財務省の月次統計が発表される8月初旬まで待つ必要があります。