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市場の関心はパウエル議長の議会証言
昨日の米ドルは殆どの主要通貨に対して下落を継続し、スイスフランとNZドルで僅かに上昇したに過ぎませんでした。
昨日には米ドルを動かす材料はなく、先週金曜日の米雇用統計結果が年内2回の利下げ観測を強めたことを背景に、トレーダーはショートポジションの一部を維持した可能性があります。
本日、市場の関心は、半期に一度開催される上院金融委員会でのパウエル議長の議会証言に向けられるでしょう。翌日には、パウエル議長は下院金融委員会で同様に証言する予定です。
先週ポルトガルで開催された欧州銀行主催の会合において、パウエル議長は米国は「ディスインフレの道」に回帰したものの、利下げに着手する前にインフレが目標の2%に向かっているとの確信を持ちたいとの見解を示しました。
特に先週金曜日の米雇用統計結果が労働市場鈍化を浮き彫りにしたことから、議会証言においても先週の見解を維持する公算が大きいでしょう。
パウエル議長がインフレの一段の改善を確認したいと主張したとしても、最近の指標結果が示したように、インフレの下降軌道への突入を再度強調した場合、米ドル安が一段と進むでしょう。
市場は年内2回の利下げを完全に織り込みつつある為、パウエル議長の発言による市場への影響は限定的となる模様です。現在、市場では9月利下げの可能性は80%となっています。
ユーロ上昇、円は横ばい推移
仏総選挙結果による宙吊り議会によって、昨日のユーロは下落してスタートしたものの、大きく上昇して引けました。市場は状況を再検討し、宙吊り議会は政治的な行き詰まりに繋がる可能性があるものの、極右政権や極左政権の財政政策による懸念を軽減すると結論付けたようです。
ドル/円は主要ゾーンとなる160.35円付近で下支えされ、横ばい推移となっています。本日、国債購入枠削減の現実的なペースを把握する為、日銀は国債市場参加者、銀行、証券会社、金融機関の債券購入者等が参加する会合を開催しました。
日銀は今後の会合において、国債購入枠削減計画を公表予定です。しかしながら、円相場を実際に動かすのは、日銀が利下げに踏み切るか否かでしょう。現在、市場では今月の0.1%の利上げの可能性は60%と見なされています。
S&P 500、及びナスダック指数は続伸
米株式市場では、 S&P 500とナスダック指数は最高値を試す展開を継続し、パウエル議長が利下げ観測を裏付ける発言をした場合、米株高の流れは続くでしょう。しかしながら、今週金曜日から米企業の決算発表シーズンがスタートする為、今週末に向けて市場は慎重姿勢に傾く可能性があり、若干の調整の動きが見られるかもしれません。
米ドル安の流れにもかかわらず、ゴールド買い一服で、中国が5月に続き、6月もゴールドを購入しなかった為、ゴールド相場は下落しています。ゴールド価格は2,350ドル付近まで値を下げたものの、下落相場への転換と判断する状況からは程遠いでしょう。
米利下げ観測によりゴールド価格は間もなく回復する見通しで、トランプ氏再選の可能性により、米中関係悪化を懸念した中国がゴールド買いを再開するかもしれません。米国が自国通貨を戦略的に使用する可能性に備えて、経済的な打撃を最小限に留める為、政策担当者は米ドル依存からの離脱の動きを継続するでしょう。