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米労働市場は鈍化の兆し
先週金曜日の米ドルは、カナダドルを除く全ての主要通貨に対して下落しました。
米6月非農業部門雇用者数は予想を上回る結果となったものの、雇用者数増加の4分の3は、政府とヘルスケア部門によるものでした。民間部門の雇用者数は、先週水曜日に発表された米ADP雇用者数と同様に予想を下回りました。
賃金上昇の鈍化に加えて、失業率は2年半ぶり高水準となる4.1%まで悪化しました。これにより、市場では0.25%の年内2回の利上げ観測が一段と上昇しました。
今週、市場の関心は火曜日から水曜日にかけてのパウエル議長の議会証言に向けられるでしょう。パウエル議長は、先週ポルトガルで開催された欧州銀行主催の会合での発言内容と同様の見解を維持する見通しですが、質疑応答ではより踏み込んだ内容により、FRBの今後の方針が一段と明らかになるでしょう。
したがって、年内2回の利上げ観測を市場が一段と織り込むのは、木曜日に発表される米6月消費者物価指数の結果次第となるでしょう。インフレの一段の鈍化は、米利下げ観測を強め、一段の米ドル安に繋がる可能性があるでしょう。
仏総選挙結果は手詰まり
仏総選挙の結果は宙吊り議会(ハングパーリアメント)に陥る見通しにより、今週のユーロは大きく下落してのスタートとなりました。事前予想に反して、左派連合「新人民戦線(NFP)」が最大勢力となり、マクロン大統領の中道与党連合が第2勢力となりました。マリーヌ・ルペン氏の極右政党「国民連合(RN)」は第3勢力にとどまりました。
米ドル安の流れ、或いは/及びマリーヌ・ルペン氏の極右政党内閣が実現しないことを市場が消化し始めた為、市場のオープン後のユーロは上昇に転じました。
市場は、左派連合「新人民戦線(NFP)」とマクロン大統領の中道与党連合との連立形成の協議実施を辛抱強く見守る必要があるでしょう。両政党は連立形成の経験がなく、政策面での隔たりが大きいことから、難航も予想されます。
左派連合「新人民戦線(NFP)」は連立を組まない姿勢を示しているものの、EU内でのフランスの役割が脆弱化する可能性が懸念されます。その一方で、連立形成は容易には進まないでしょう。
米株価最高値更新、中東和平期待で原油価格下落
先週金曜日、米主要3株価指数は上昇しました。米雇用統計の結果が年内2回の利下げ観測を上昇させた後、S&P 500とナスダック指数は最高値を更新しました。
先週金曜日のゴールドも上昇し、6月6日以来の高値2,388ドルを一時突破しました。しかしながら、本日のゴールドは下落しています。今週のパウエル議長の発言と米6月消費者物価指数の結果が米利下げ観測の追い風となった場合、ゴールドが回復し、2,450ドル付近を試す展開となるでしょう。
原油相場に関しては、米ドル安よりも、中東の停戦期待が材料視されました。和平交渉は既に始まっており、今週も続く模様です。
メキシコの主要な原油施設がハリケーン「ベリル」の影響を受けない見通しも、原油安に繋がりました。しかしながら、夏場の需要増加、及び米利下げ観測上昇により、原油の一段安は一時的となる公算です。