マーケットコメントー本日の米雇用統計に注目、英総選挙後ポンドは安定

投稿日: 2024年7月5日19時08分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・本日の重要な米雇用統計を前に米ドル続落
・英総選挙での労働党圧勝でポンドは小幅上昇
・株式市場は上昇で今週の取引を終える予定、ビットコイン続落

本日の軟調な米雇用統計に備え、市場でのリスク高く

今週の株式市場は、先週の下落後、米ISM製造業PMI指数と非製造業PMI指数ともに低下したことを受けて、FRBが9月に利下げに踏み切るとの期待が高まり、世界中で強気トレンドとなっています。

ここ最近、インフレ圧力の抑制が進展しているにもかかわらず、FRBが利下げに踏みとどまっていた主な原因は、堅調な米経済が背景にあります。しかし、米経済が減速していることを示唆する一連の経済データにより、FRBが利下げに踏み切っても、インフレ圧力が再加速しないとの確信を深めることになるでしょう。

特に、FRBが利下げに慎重になっている要因は、米労働市場が依然として逼迫しているため、早すぎる利下げによって、消費者の支出が抑制できなくなることです。しかし、雇用者数が予想外に上振れしたにもかかわらず、5月の失業保険申請件数は4.0%に上昇し、その労働市場にも冷え込みの兆しが見え始めています。本日の米雇用統計では、6月の非農業部門雇用者数が前月の27万2千件増加に対して、19万件増加すると予想されています。

本日の非農業部門雇用者数が20万件を超えず、失業率または平均賃金も予想外のサプライズがない限り、市場は米雇用統計を歓迎するでしょう。

米ドル続落

しかしながら、米ドルは主要通貨に対して3週間ぶりの安値で取引されており、本日の雇用統計に備えてポジション調整のリスクがあります。本日の雇用統計が予想以上に好調となる場合は、80%の確率である9月での最初の利下げを含む年内2回の利下げへの期待が後退する可能性があります。

米国債利回りも低下していますが、トランプ氏が11月の総選挙にて勝利する場合、さらに大きな財政赤字が懸念されることを考慮すると、下振れ幅は限定的と見られます。

英総選挙は労働党の圧勝でポンド安定

イギリスでの総選挙は予想通り、労働党が過半数以上の圧倒的多数を獲得し、スナク首相の保守党は250議席以上も失う結果となりました。

しかし、選挙結果が世論調査通りとなったことから、この結果はすでに織り込みまれていたためか、ポンドにはほどんど反応はありませんでした。ポンドは、週次1%以上の上昇に向かっており、ユーロも同じように今週は上昇で終えそうです。

フランスも日曜日に第2回議会投票を控えています。中道派と左派の同盟によって、国民連合との三つ巴となる選挙区では、第3候補が立候補を辞退することに合意したことで、極右が政権を握るとの見通しが後退し、安堵感が広がっています。

今週の株式市場は上昇へ、ビットコイン続落

政治的リスクの低下とFRBによる差し迫ったハト派転換により、欧州と米国の株式市場は上昇しています。

米先物市場は、昨日の独立記念日による休場明けとなる本日、小幅上昇となると示唆されており、欧州の主要株式市場も上昇しています。

ゴールドも今週はドル売りを背景に小幅上昇していますが、ビットコインの下落には回復の兆しはありません。トランプ氏が大統領となる場合、バイデン政権ほど仮想通貨市場に有利な環境にはならないとの懸念が重荷となっており、清算への懸念がパニック売りを促しています。