マーケットコメントーFRB議長のハト派発言から米株式市場は最高値更新

投稿日: 2024年7月3日17時42分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FRBパウエル議長のハト派発言で米株式市場はラリー
・明日の米独立記念日を前に本日も重要な経済データの発表続く
・ECBのハト派発言でユーロには引き続き圧力
・依然として円安進行

FRB議長の発言で米株式市場はラリー

現在ポルトガルのシントラで開催されている年次ECBフォーラムには、ECBのメンバーが多く出席していますが、市場を左右するニュースはFRB議長の発言となりました。パウエル議長は、「ディスインフレーションの環境に戻っている」と発言したため、米株式市場での強力なラリーを引き起こしました。S&P500とナスダックはともに、テクノ株の上昇から牽引されて、過去最高値を更新しました。ただ、既に今年目覚ましい価格上昇を見せているエヌビディア株は、この上昇には貢献しませんでした。

パウエル議長の発言は、米インフレ抑制へのさらなる進展の必要性を強調したことから、ディスインフレに関する発言ほどハト派とはならなかったことと、市場がタカ派姿勢や堅調な米経済データを常に材料視してこなかったにもかかわらず、ハト派姿勢に対しては予想外に敏感に反応したことになります。FRBの利下げを期待する市場の声は想定内ですが、今週の米経済データが市場を沈静化できない場合は、大幅な調整となる可能性が高まっています。

明日は米国の独立記念日で祝日となることもあり、本日の経済カレンダーは忙しくなりそうです。金曜日の米雇用統計を前に、本日はADPによる雇用統計と、週次失業保険申請件数、そしてチャレンジャー社による人員削減数の発表が注目となるでしょう。さらに、ISMサービス業企業調査と工場受注データが、米経済の減速を裏付ける場合、9月での米利下げ観測はさらに高まる可能性があります。

一方、バイデン大統領が11月の大統領選を辞退するのではとの憶測が広がっており、米国のトップ世論調査機関は、既に後任を予想しています。ハリス副大統領とオバマ夫人が候補に挙がっていますが、特にオバマ夫人は民主党がトランプ氏に勝つ最善策である可能性があります。

一連のECBメンバーのハト派発言もユーロは乗り切る

昨日の一連のECBメンバーによつハト派コメントもユーロは何とか切り抜け、本日も、ECBラガルド総裁と超ハト派で知られるオランダ中銀クノット総裁などの講演があります。ECBのハト派は、9月での追加利下げの道筋を築こうを試みていますが、多くのタカ派は、追加利下げには大きな進展が必要であると主張しています。ラガルド総裁は、両方の主張をバランスを取ろうとしていますが、特にユーロ圏の経済データが徐々に軟化を示さない場合は、総裁の役目もますます厳しくなるでしょう。

一方、フランスは日曜日の第2回議会投票に向けて準備 を進めています。ルペン氏率いる国民連合が議会の過半数を獲得する可能性があり、今後3年間にわたって、マクロン大統領に難題を課す可能性もあることから、今週月曜日の欧州株式市場での前向きな反応はおそらく時期尚早と見られます。左派連合とマクロン大統領の中道派の同盟への試みから、第2回投票において共通の候補者を支持する取り組みは、中道派の候補者が極左政党の党員を支持することに特に前向きではないことから、それほど順調にはいっていないようです。

国内の経済データは円のサポートにならず

日本国内の経済データが市場の期待通りとはいかない中、ドル/円は引き続き上昇基調で、日銀の忍耐力が試されています。中国と同様に、日本の6月のPMIサービス業企業調査は、2022年4月以来水準まで低下しました。来週の平均現金取得と生産者物価指数などの国内経済データが予想を下回る場合、日銀はおそらく次回7月31日の会合にて、タカ派スタンスの検討を断念せざるを得なくなるでしょう。